福山観光旅行の挑戦!(2)必需品をつくる
2022.02.04岡村 衡一郎
今号は前号に引き続き、福山観光旅行の新しい商品開発の取り組みについて触れていく。
開発コードは「福山から人を送り出すだけでなく、福山に人を呼び込む」。
後継者の漆川さんは、新規事業は経営者と考えるのが得策と考えた。
そこで次の問い「福山に何があるのか」を立て、身近にいる経営者、社員旅行でお世話になっている企業人一人一人を訪ねた。
対話を重ねていく中で見えてきたのは、次のようなことであった。
経営者/人口が日本トップクラスである。
世界ブランドと取引している企業がある。
特定の領域でオンリーNO.1企業がある。
改めて見直すと、地元福山には、ロケットやブランド商品の主要パーツ、吊り金具、ビーズなど、最先端の研究機関から女性の趣味品まで、多くのジャンルで活躍している。
福山から出かけることに必需性がないと弱い。
コロナ禍で漆川さんが痛切に感じたことだ。
新商品は、福山から人を送り出すだけでなく来てもらう対策を。
「趣味品」の旅行だけでなく「必需品」として提供できるサービスを。
そして、お客さまの仕事や生活をより豊かにして、なるべく早く行きたくなるものをと考えていった。
結果、考え出したのが、少子高齢化の日本で企業の生き残りのヒントなるツアーである。
参加者の仕事が良化に寄与する企画なら、必需性を高めていける。
経営コンサルティング会社の企業視察ツアーと比較しても、自分達は視察先と長年つきあったきたゆえに情報の切り出し方に歴史を加えて厚みを出せる。
経営者の距離も近いから本音のやりとりができると考えた。
添付資料がパンフレット「地域発の世界企業、日本のオンリーNO.1企業視察」である。
自分で企画し、自分で集客し、自分で添乗して案内する。
この商品は旅行商品の代理販売の形態を超えた、100%の自社商品になる。
福山観光旅行㈱は、福山の魅力を発信して、地元に人を呼び込めるハブの役割を担おうとしている。
12月の第一回のツアーは、ほぼ満席となった。
第二弾、第三弾の企画は、30分でのミニ商品づくり体験教室や、SDGS取り組みのモデル企業を中心にまわるツアーなど、地元の経営者の対話の中で見えてきたヒントをもとに、現在企画を詰めているところだ。
福山にある地元企業のミュージアム。
これら先の日本企業の経営や仕事の意味を考える最良の機会を提供していくことが、必需品としての旅になるトライがはじまった。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 250」2021.12.24】