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COLUMN

いい会社づくり通信

福山観光旅行株式会社の挑戦!⑶まずは100名を集める

2022.02.07岡村 衡一郎

 前号では福山観光旅行㈱の新サービス、地元福山の世界で活躍する企業視察ツアーが 12月 10日から開始していくと、お伝えした。
ポイントは、仕入品の趣味品的な販売だけではなく、自社商品を必需品として販売していく、という新たな商売の力点づくりにあった。
図 1 に趣味品と必需品、自社商品と仕入れ商品の関係を示したので補足していく。

図1

 図 1 の縦軸は、商品の作り手が誰かで仕入品と自社商品を分けた。
自社以外の人なら仕入商品と自社の人なら自社商品となる。
横軸は、お客さまにとっての消費の位置づけを趣味と必需で分けた。
どんな時にも使用する必需品、なくても困らないがあった方がいい商品を趣味品として分けた。

 一般的に旅行代理店は、右上の他の人がつくった仕入商品をお客さまの趣味的な欲求を満たす事業をしている。
右上の位置づけ、仕入品・趣味品にある商品・サービスを提供していることが多い。
お客さまの文化的な欲求を満たしていく上で、右側のゾーンに位置する趣味品は大切だ。
秋の紅葉を見に行くツアーは行かなくてもいいが、生活に豊かさをもたらす商品である。

 しかし、緊急事態宣言などが出される不要不急の…、などが始まってしまえば、お客さまにとっての優先順位は下がる。
福山観光旅行株式会社は、趣味品のせつなさを痛感した 1 年であった。
旅行のキャンセル、社員旅行などの延期など、自分たちでコントロールできない状況にもどかしさを感じ、新たな価値提供の形を模索してきた。
試行錯誤の末、生まれたのが福山にある世界企業のイノベーションツアーである。

「まずは 100 名の参加者を得る」。
後継者の漆川さんは社内のメンバーと販売目標を掲げて、図 1 にある右下のゾーンにある商品に取り組み始めた。
イノベーションツアーの他にも福山に住んでいる人にも利用いただける体験ツアーも20 案準備した。
学ぶ、気づくにまつわるサービスであれば、外部環境からの変動要因も最小限になるだろうと見込んで品ぞろえを増やしていく予定だ。

 話が飛躍しているように感じる方がいるだろうが、この必需品的でありかつ自社商品的に販売できる商品・サービスは、どの業種業界に属する企業にとっても、これからの日本市場で事業を営んでいく上では欠かせないテーマである。
修学旅行先の奈良は一番落ち込みが低く、東京が一番落ち込んだことからも、必需的な商品の重要性に気づいていただけるだろう。

 図 1 の右下のゾーンに位置するように自社の商品・サービスをずらしていく。
これは、人口減の市場、多くの商品に囲まれた成熟市場、所得が増えていく背景がみえにくい環境の中で、選ばれていくための戦略的取り組みである。
福山観光旅行㈱にとって100名は少ないかもしれない。
しかし自社商品の開発過程が、仕入商品の自社商品的売り方につながっていくのである。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 251」2022.1.7.14】