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COLUMN

いい会社づくり通信

企画機能・商品化機能・販売機能の再構築 ⑷

2022.02.01岡村 衡一郎

 3日間の目標は 1000 枚。
小売に初トライしたメンバーは、知人に声をかけ、みんなで売場をつくり、商品の価値を言葉にして、開催に漕ぎづけた。
自社工場直売店オープンセールの結果は上々だった。
チラシ効果もあったが、なにより大きかったのは社員からの口コミである。
準備していたショーツは完売。
そのほかオーダー下着などの注文をいただけた。

 はじめての事業は知人から広げていく。
このことは会社組織に属していると忘れがちなところである。
創業当時はどの会社もお客さまいないのだ。
製造部がどうの、営業部が問題だ。
一般的な会社にみられる部門の壁は、お客さま不在の話である。
しかし先達がつくったシステムの上にのっかり商売していたらなおさらお客さまが見えない。
小林縫製さんのメンバーは、工場直売事業を起こしていく経験で、お客さま中心の社風も取り戻したともいえる。

 組織の活力を下げていたきいなら簡単だ。
それぞれに仕事の担当を設けて商品部は商品を。
販売部は販売を。
製造部は製造を。
その線引きの中からでないようにルールを設定すればいい。
小林縫製さんでは、全員で企画を考え、販促を考え、知人にも紹介して、全員で臨んだのだ。
セールの企画は企画部が担当し、販売部が企画を受けて販売するといった分業体制ではない。

 当たり前だと思われるだろうが、今までと同じ発想で企画をすれば同じ商品が生まれ、同じように売っていれば支持率は下がっていく。
製造部が顧客現場実感をなくしていけば、自分たちのペースでのものづくりを主張していくようになるだろう。
そして、これらすべては自分たちのマンネリ化につながる。
だが、会社というのは同じことの繰り返しを促すよう構造で押さえられていることが多い。

 図表 1 に示した左側が一般的な流れである。
右に示したのが今回の小林縫製さんの工場直売店事業の取り組みである。
本来、組織図に書かれた役割は最低限度の役割のはずである。
右のように、各機能のまじわりのところが重要なのだ。
フロー図のような後工程に渡すのは仕事の一部にすぎない。

図表1

 部門を超えて顧客接点を感じ取り未来に対して手を打つ、このアクションが増えていくのが望ましいのは周知の事実だろう。
しかし多くの企業では「何で」の媒介があいまいなのと「どうする」のアクションが分業的発想の域を出ていない。
これらの状態を放っておけば、仕事は繰り返し作業になりさがっていってしまう。

 小林縫製さんでは、何を、会長ショーツを、どうする、リブランドして全員で販売していくというアクションを通じて。
顧客接点を感じ取り未来に対して手を打てるチームに会社が変わりつつある。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 248」2021.12.10】