イノベーション企業は超常識
2021.10.13岡村 衡一郎
複数回にわたって、イノベーション企業「変化するのが当たり前」の企業の常識に触れていく。
前回では戦略、仕事、改善、作業標準、利益、変化の五つの視点でとらえ方の特徴に触れた。
今回は、次表にまとめた四つの視点でみていきたい。
一つ目の視点は、イノベーション活動についてである。
多くの企業では、イノベーション活動は、フォーマルな活動として展開していくことができない。
変化の重要性は分かっていても、成果や納期の保証でできないからと考えがちだ。
対して 前回で触れた現場・部門戦略であれば、業界常識超えを狙った活動が実践できると考え取り組んでいく。
現場・部門戦略には、納期・成果を保証した活動はもちろん、明日の準備にあたる活動も併せてフォーマルで展開しているのが、変化が当たり前にある企業の二つ目の特徴だ。
一人の天才に頼るのではなく、手足頭を動かしながら集団知を生かして、納期や成果が読めない目標に向かった活動を行なっているのである。
三つ目の当たり前に対する評価の違いは面白い。
イノベーション企業では、当たり前にできたことは「すごい」と評価されていくのだ。
当たり前のことが当たり前にできる現場力は、そう簡単にできるものではないし、当たり前実践力があってはじめて、改善なり変化への活動ができると考えているからこそ、当たり前を大切にするのだ。
管理者は管理をする人ではないと考えているのが四つ目の特徴だ。
変化を日常に位置づけるチェンジリーダーとして役割を担っているのが管理者なのである。
具体的には、明日の準備にあたる成果・納期が読めない活動を、日々の業務の中で実践する。
仕事=作業+改善+変化を持続させていくリーダーとしての役割を担っている。
四つの切り口から分かるのは、イノベーション企業の特徴は現実的意識だけでなく可能意識的仕事に立脚した取り組みがなされていることである。
現実意識的仕事とは、読める仕事の範囲で取り組んでいくこと。
可能意識的仕事は、どうすればいいのかまでは分からないがやりながら近づけていく実践である。
当たり前のことを当たり前にできることを称賛しながら、可能意識のもとトライを忘れない。
今日の業績向上プラスアルファ。
この視点が、単に頭の中にあるだけでなく、確実に実践に移していくために仕掛けているのである。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 205」2020.12.25】