確認のための会議・打ち合わせを創造の場に変える
2019.06.24岡村 衡一郎
今行なっている会議や打ち合わせは、結果の確認に終わっていないでしょうか。
終わっているとしたら、自社の商品・サービスを、何のために、何に向かって、拡充していくのかが、あいまいになっているのが原因と考えられます。
建築土木材料のリース会社の㈱ヒロセ・大阪支店では、売り上げ目標のギャップの確認とメールでもできる伝達事項の共有に終始している状態を変えるために、すべての会議をやめました。
支店長が決めたルールは一つ、「いつでも必要だと思ったら声をかける。声をかけられた方は忙しくても応じる」とうものでした。
1 年間ルールのもとに公式な会議のほとんどをなくしました。
代わりに圧倒的に増えたのが顧客提案のためのミニミーティングです。
回数をカウントしてみたところ千回を超えていました。
一年後、業績は V 字回復、会議をやめたことで、本当に必要な創造的な対話が進んでいったのです。
パークホテル東京の打ち合わせは、いつでも活気に満ちています。
日本の美意識が体感できる時空間になるために何を改良するのか、議題の中心が、ここにあるからです。
北都銀行・西支店の会議は、サービス改良が中心です。
会議終了後には、明日の課題が明確になるから、皆が元気になって終われます。
あいデンタルクリニックでは、メンテナンスに来てくれた患者さんへのアプローチの振り返りを行なっています。
患者さんに何ができるか、ほかにできたことはなかったか。
あいデンタルクリニックの若手社員は毎日考えます。
商品改良や開発が話し合いの中心になれば、会議や打ち合わせは、創造の場として有効に機能しはじめます。
社員が成長する職場の会議は、商品を介しての話題が多いのです。
理念の唱和や、フィロソフィーの読み合わせ、営業数値のギャップ確認。
これらは会議で人気の高い内容ですが、参加者一人一人の確信にはつながりません。
あいデンタルクリニックも最初はそうでした。
職員のやる気を鼓舞しようと院長の講話が会議の中心でしたが、結果は思ったように変わりません。
考え方を変えようとするアプローチは、成果につながらなかったのです。
以前のパークホテル東京は、社員の定着率の低さの問題にずいぶん悩んでいましたから、話し合いはディフェンス一辺倒でした。
前のホテルの方が、こうよかったから変えてください。
このホテルは、ここがダメだから直してください。
一つ一つの意見に対処してきましたが、ほかのホテルでの経験豊富なスタッフたちは、よりよい職場が見つかったら去っていきます。
両社の現在の会議は、全てが創造の場です。
「通いたくなる歯医者さんになる」ための「60 分メンテナンス」を、パークホテル東京は「日本の美意識が体感できる時空間」になるための「アーティストルーム」を。
これらのコア・アイテムの価値/価格を高めるためのアイデアを、ああしよう、ああすればよかった、などの意見交換を活発に行なっています。
会議を創造の場に変えるには、時間の確保と意義のある話題設定が必要です。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 091」2018.6.8】