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COLUMN

いい会社づくり通信

利益5倍を実現した経営者の学び方

2019.07.01岡村 衡一郎

 私は経営者同士の学びの場の企画運営を 10 年間続けています。
その中で感じるのは、同じものを見ても、同じものを聞いても、情報から得られるものが異なるということです。
ある人は、すべてを自分のものにするし、ある人は 1/10くらいしか自分のものにできない。
この差は大きく、5 年間同じ場に参加いただいている A 社長は利益が 5 倍に、B 社長は売り上げが 10%増にとどまっています。

 二人を観察して分かったことがあります。
A 社長の答えの導き方は「自分だったらどうするのか」、この一点にすべての情報を集約しています。
そして、自分の好みの状況だけに偏らないように、図のようなマップをもとに、見たもの、聞いたことを整理しているのです。

 図の Aゾーンは、自分が気に入って取り入れたいことです。
Aゾーンに入るものは、自分の会社でも実践に移していくでしょう。
成果を大きく分けるのは、Dゾーンのあまりに気にいらなかったことで、やってみようと思えなかった物事の処理のし方です。
10人中 9 人は、Dゾーンに入ったものは思考の外に切り捨てていくでしょう。
しかし A 社長は違うのです。
Dゾーンに入っている情報を、自分の枠を広げる材料として次のように吟味していくのです。
・自分は何に反応しているのか。
・あの人は何のために、それを実践しているのか。
・私が、あの人の会社を経営するとしたら同じ方法を取るのか。

 これらの視点での Dゾーン情報の吟味が、毎回、自分がより成長していくための課題発見につながっているのです。
例えば、日本でもいい会社で有名な沖縄教育出版に伺ったときに、創業者の川畑会長が、社員の肩に手を添えて話し合っていた光景を見ました。
A 社長にとっては、社員との距離の取り方に違和感を持っていたのです。

 しかし、なぜ違和感を持ったのかと考えてみると、自分の欲しい状態への示唆があると分かってきたのです。
そして、自然なトーンでいる川畑会長が、なぜ、そうしていられるのかをトコトン考え抜いたそうです。
そこで分かったのは、自分が社長という役割にあわせて振る舞っていた姿です。
少し力が入っているから、相手も緊張する。自分の素の上に社長という役割が取れれば、相手の緊張も減っていくし、より生産的なかかわりができていくだろうという仮説を持ちました。

 あれから 4 年が過ぎますが、A 社の経営会議はフランクな場になりました。
一つの議題にざっくばらんな対話があるから、見学に伺った沖縄教育出版のように、社長が思いつく以上の答えにたどり着けるのも少なくありません。

学びチャート

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 092」2018.6.15】