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COLUMN

いい会社づくり通信

一品革新五つのステップ

2018.07.17岡村 衡一郎

 一品を探す。一品にこめる。一品を伸ばす。一品で発見する。一品を広げる。
これらは一品を核にした革新の段階的な取り組みである。
図 1 に示したように変革は足元の強みが凝縮されている一品探しからはじまり、なりたい姿に近づけようとする実践が日常になりゴールをむかえる。
革新は時限付きの取り組みではなく、能動的に飛躍を図る実践そのものである。

図1

 ビジネス書には最初にあるべき姿をと言及しているものがある、だが今あるものを生かしきった後に革新は訪れるというのが私の実感だ。
事業は人が営むものだから、くやしさをバネに、うれしさをエネルギーに。
これらの情感がベースになった原動力がなければ、飛躍はスローガンに終わる。
「こうなりたい」という「なりたい姿」が、変化のベクトルになる。

 今あるものを能動的に伸ばすのが革新の前工程。
自分たちが現在取り扱っている商品・サービスの中から強みが凝縮されている商品を探し、思いをこめて、N倍に伸ばしていくアクションになる。
本工程は、思いをこめて伸ばすアクションを通じた情感をベースとした、なりたい姿の発見がある。
後工程は、今となりたい姿をつなぐ一品を広げるアクションだ。

 カメラチェーン A は「お客さまの思い出を一生きれいに残す」を軸に革新を続ける。
写真プリントからアルバムの管理代行まで、数々のサービスを展開し、見直し、新商品を加え続ける。
直近ではエコー写真、お母さんのおなかの中にいたころの思い出を一生きれいに残すサービスにも力を入れる。
彼らの存在意義から生まれる商品は懐が深く簡単にはまねできない。

 プリントという「一品」を核に革新を続けるカメラチェーンA店でも最初から自分たちが突き詰めるべきテーマが見つかった訳ではない。
カメラ本体の価格や品ぞろえ勝負だけでなく、「お客さまの思い出を一生きれいに残す」にシフトできたのは、創業以来の強みであるプリント技術に焦点をあて、思いをこめて伸ばしていく中で真の存在意義を見出したのだ。

 一品革新の 5 段階は、商品・サービスを変えることを通じて自分たちが変わるプロセスである。
商品・サービスの深化を日常の仕事の中につくりだし、結果として進化していくための具体策である。

 一品を探せば、自分たちの強みに気づける。
一品にこめられれば、事業の意味や目的を改めて自分事としてとらえられる。
一品を伸ばせば、自分たちの今の限界が分かると同時に未来の絵姿の示唆を得られる。
一品で発見できれば、自分たちの可能性が広がる、売ると貢献がつながる。
一品を広げられれば、自分たちならではの存在意義の拡充になるし収益もあがる。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 044」2017.5.26】