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COLUMN

いい会社づくり通信

業績アップの力点と改良の順番

2018.07.02岡村 衡一郎

 業績アップの力点をどこに置いて、どんな手順で進めていけばいいのだろう。
同じ商品でも3割引など価格訴求型の販売促進をすればレスポンスも早いだろう。
報奨金をつけたキャンペーンも瞬間的な伸びにつながる。
しかし、これらの価格訴求や人的な販売強化は瞬発力があっても持続力はない。
業績アップで大切なのは、お客さまとの関係を発展させていく取り組みだ。

 商売の構成要素は、図1に示したように、人、商品、売場、接客、販促の五つになる。
真ん中に主体者がいて、人の課題意識の基、相手のために表したものが商品だ。
消費の使用価値を購入する前に確認できる場が売場。
商品に動的な説明を加えお客さまの欲求へとつなげるのが接客。
まだ商品の存在を知らない人に伝えるPR活動、HP,チラシ、CMなどが販促となる。

1図

 業績でもなんでも、つきつめれば「何」をどうするのかにつきる。
改良の手順の一番目は、「何」を決めること。
具体的には伸ばす商品を決めるところが出発点になる。
業績が伸び悩んでいる企業ほど、「何」をあいまいにしているように感じる。
売り上げ目標だけが先行していて何を何個という商品に落とし込まれていないから、取り組みがぼやけて、せっかくの努力が分散している。
「何」を決めた後は、商品の価値/価格の見直しにはいろう。
なぜならお客さまは商品とつきあっているからだ。
そして、他社と同じ価格なら、より価値が高いと感じる商品を選択する。
どんなにいい接客でも、どんなに心地よい空間であっても、同じように感じる商品の価値/価格があった上で、より接客がいい人、より居心地よいお店でという選択がある。

 商品を決め価格/価格の見直しの次に売場の改良にはいろう。
売場は価値を具現化する場だ。
商品の価値/価格が伝わる仕掛けが重要になる。
具体的には誰の何にどう役に立つのかを伝えるPOPや、足を止めてみてもらうために目立つ場所への陳列などである。
貴重な資源の人に余計な負荷をかけてはならない。
だまっていても伝わるレベルが、改良の方向性になる。

 人を介さずとも、ある程度、商品の価値/価格が伝わる売場づくりの後に着手するのが接客だ。
商品を見ながらあれこれ考えているお客さまに対して商品の使用価値によってお客さまの生活がどうなるのか。
購入判断を促進していくアクション、価値による説得に幅を持たせるのが接客の勘所になる。

 商品、売場、接客の見直しに着手した後に手を入れるのが販促だ。
その商品を使用する可能性はあるが、また知らない人へ、こちらの商品の方が価値/価格がいいと根拠を持って伝えるPR活動。
価格だけを訴求して「安いですよ」がメインメッセージではない。
価値のPRを中心に考えよう。

 業績アップは刹那的な取り組みではない。
お客さまとの間にある商品の価値/価格を中心に、商品、売場、接客、販促の順番で手直ししてまた商品の改良に戻る。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 042」2017.5.12】