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COLUMN

いい会社づくり通信

変化の力を引き出すチームの意思決定

2018.03.12岡村 衡一郎

 メンバーの主体性と組織の効率性は互いに打ち消し合うものなのだろうか。
本気の人が目的を共有して連携できれば掛け算になれるはずだが、どうすればなるのかは難しい課題だ。
部門長が決めるメンバーとは実行する人の関係は効率化のもと根付いているからである。

 一人一人が当事者であることを重視する村では合意のプロセスが用いられてきた。
お互いが納得するまで話し合って妥協的ではない答えを探す。
確かに質の高い答えにたどり着けさえすれば、多くの人で決めた結論は実践段階で力を発揮する。
しかし合意はビジネスに求められる効率という側面がなかなかクリアできない。

 ビジネスの現場で当事者意識を大切にしながら、チームとしての束なりもつくり、期限が区切られた中で成果につながる。
変化に向かうチームをつくる意思決定のポイントは三つある。
一つは非データ系情報を集めること。
二つ目は集めた情報から変化する方向や新しい対策のあぶり出す時間を区切り繰り返しながら対話を行なうこと。
三つ目は、一つ目と二つ目を通じた自己決定感の醸成である。

 一つ目の非データ系情報とは数値に表れないもの、報告書にきっちりとした文章になりにくい、あいまいな情報である。
例えば、なんとなく好感触が得られない。
特定の客層から支持が上がってきたように感じる。
こんな質問が増えてきたなど、集めて吟味してみて意味がみいだせる感覚のあアンテナでどらえた事柄だ。
ヒット商品・サービスを数多く生み出す企業は、これらの感覚系情報をかき集める仕組みがある。
例えば現場の最前線にいるパートさんの意見を拾いにいく時間を固定し、皆で聞きに行くアクションを取る、現場での日々の気づきを一ヵ所に集め全員にフィードバックする社内新聞などである。

 二つ目の集めた情報から変化する方向や新しい対策をあぶり出す対話は、ダイナミックでフラットに時間を決めて、一定期間ごとに行なうことがポイントである。
固定メンバーで同じ情報の取り方をもとに意思決定を繰り返せばマンネリになりやすい。
力のあるリーダーにとって、自分のフィルター以外から入ってくる情報は鬼に金棒になるはずだ。
そして実行にかかわる人が、それぞれの意見を固めて意見し合えるからこと決定の難しさも分かるから決め事への尊重も生まれる。
何よりすぐにはできないが、複数の本気のメンバーが出せた結論は、一人で考えて決めるより質が高くなる。
週に1回1時間など時間を区切って行なうことで質は徐々に高まっていく。

 三つ目の自己決定感は、決めたことは仮説であり、やってみて分かったことで定期的に修正する機会がある安心感と自分があてにされる信頼感により醸成される。
リーダーが最終的に決めたことが違う意見であっても実行に移せるのは、メンバーが決め事へインプットとしてかかわれた実感と現場情報の吟味から見えてきた新しい発見が支える。

 仮説をたて、動かしてみて、修正する。
本体的な意味でのSee-Plan-Doがまわるための中心軸は意思決定の軸だ。
現場情報をかき集め意味を吟味し意見を出し合いながら最良だと思えるものを選択するリーダーの作法にある。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 025」2016.12.9】