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COLUMN

いい会社づくり通信

お客さまの変身を支える

2018.03.19岡村 衡一郎

 お客さまが長年通い続けてくれる理由を確認すべく、ヨガスタジオA社のスタッフは顧客インタビューを行なった。
常連の方々に20分の時間をいただいて、一人一人異なる理由に耳を傾けた。
自分たちの予想とお客さまが感じている中身が一致していれば互いに幸せだし、磨き込んでいけば、強みはさらに熟成されていく。
違いがあれば変化の種として生かしていける。

 自分たちが提供しているサービスを相手側がどう受け止めているのか。
リアルな相対での確認が、仕事の意味を浮かび上がらせる。
自分たちの意図と結果の定期的な確認は自分たちのマンネリ防止につながる。
アンケートは直接スタッフに言いにくい不満が集まりやすく変わるための材料としては適さない。
変化する方向は、不満の解消より高評価の方に示唆がある。

 変化とは「あるもの」から「ないもの」を生み出す能動的な飛躍である。
「ないもの」を埋めにいく取り組みではない。
多くの企業は「あるもの」に気づかずに「ないもの」をよく知っている。
今いる人、買ってくれている人の使用実感の把握をおろそかに、価格やハードなどのスペック情報をもとに、競争に勝つための施策を中心に取り組んでいるからである。

 お客さまが内側(インター)に入って明らかにしていく(ビュー)がインタビューだ。
お客さまも価値がはっきりとした言葉になっているケースは少ないから、やりとりがいる。
提供している側とお客さまとの対話、やりとりを通じて徐々に明らかになっていくのが使用実感である。
表面に表れる言葉の背景の掘り下げなしに本当に買っている理由はお互いに分からない。

 A社では常連さんの一人一人の通い続けてくれている真の理由から、本当の仕事の成果はなんなのかと掘り下げていった。
違いのあった自分たちの予想を超えてうれしかった意見を中心にサービスが相手にもたらす意味を考え抜いた。
相手の方が自分たちより詳しいことがある。
命の次に大切なお金を使う方が真剣だから、ある側面からみれば本当の強みが分かるのだ。

 お客さまが知っている価値と自分たちで事前に考えた価値との違いの中で、最もうれしかったのは「家族が通い始めてからの変化を喜んでくれているから」という意見であった。
サービスを通じてお客さまの生活がよりよくなるきっかけとなっている。
うれしい出来事はヨガを広めると決めた「人生を豊かにする可能性がヨガにはある」という創業者原点への評価でもあったことを思い出させた。

 インタビューの前準備の段階では十分に原点を掘り下げてこなかったから予想できなかった違いは、創業の原点にあるものだからこそ、今から突き詰められるものになる。
お客さまの変身を支えるカリキュラムはどうあるべきなのか。
どんな情報を提供していけばいいのか。
相手が本当に解決したい課題を知るには何をするのか。

 サービスを通じてお客さまの変身を支えようとする意識は、変革を実践するためのベクトルに変わり相手が感じる価値と提供していこうとする価値の一致点を増やす試行錯誤を促す。
量が問題ではない、例え一人の意見でも最もうれしかったと思える使用後実感を軸にしたサービスの意図的な見直しが、サービス・イノベーションにつながる。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 026」2016.12.16】