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COLUMN

いい会社づくり通信

商品力アップ二つの軸

2018.02.27岡村 衡一郎

 商品力アップの軸は二つある。
縦軸は商品の価値/価格バランスを高める実践。
横軸は客層に適した展開を図る実践である。

 縦軸と横軸の関係は、自分事で考えると理解できると思う。
食事でも旅行でもステレオでも、商品を選ぶ際、欲しい質なり経験なりをある予算をもって探し始め、ここで買ってもいいな、と思える感覚がフィットするお店で購入決定していないだろうか。
得たい価値と価格のイメージから入り、ここならいいだろうという判断を何らかしているはずだ。

 購入の制約になる予算の前後で、より価値が高いモノを選びたい欲求。
対象商品のすべてを事前に吟味できるはずもないから、品ぞろえに何らか合理性を感じる場所を探したいという気持ち。
この二点に最良な答えが提示できる状態をつくる実践が商品力アップそのものである。

 縦軸の価値/価格を高める実践は、ある素材にある加工がなされて形づくられる商品であるから、素材とつくりの見直しがポイントになる。
そして商品の価値とは、自分の欲求を満たす相手の働き、価値に価格がついたものである。
素材を変える、工程を増やす、または集約するなどを通じえられる価値と価格のバランスを他社比較の上で最良にもっていく実践が肝となる。

 横軸の客層に適した展開を図る。
すなわち品ぞろえは、ただやみくもに増やしていけばいいものではない。
「品ぞろえ」を厳密に定義すれば、ニーズの受け皿であるからだ。
300種類のノートを並べられても選びにくいし、100円均一で10種類でも面白味にかける。
「あなたの欲しいのはこの中にありますよ」とすでにプロの厳選済みであり、迷わせず、かつ選ぶ喜びももたらす。
ニーズと品ぞろえにはつなぎ方がポイントになる。

 一番企業の最大の特徴は、一つの商品に老若男女の幅広さが集まっているところだ。
身近に子供から年配まで来ているお店があるだろう。
逆から言えば、最小の品ぞろえで最大の支持を得ていると言える。
お客さまに迫る商品力アップの二軸を押さえて深化させてきた故の成果である。
売れている商品ほど放っておかず、価値/価格を見直し客層ごとに適した展開を図ってきたのだ。

 グリコの「ポッキー」やトヨタ自動車の「カローラ」は、最小の品ぞろえで最大の支持を得る見本のような商品だ。
「ポッキー」は、縦軸によりおいしさの改良を置く。
横軸にはさまざまなシーンで利用、子供のおやつから大人のウイスキーとチョコレートでのつまみ。
各地土産用にと幅広い。
「カローラ」は、若い人向けのレビンなどの横軸に力を入れ、縦軸には品質を置き耐久性の高い車でリセールバリューの高さを目指してきた。

 究極は一つの商品・サービスですべての客層に支持される状態。
しかし現実的に目指す最小の品ぞろえで多くのお客さまの欲求を満たせることだろう。
その耐えには売れている単品ほど手を抜かないのが出発点。
売れている商品の縦横軸の掘り下げによって商品の可能性はまだまだ広がる。

 縦軸に置く、つきつめる価値を一言で言えば何になるだろうか。
そして横軸に誰のどんな欲求に応えるラインアップが必要になるだろう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 023」2016.11.25】