企画機能・商品化機能・販売機能の再構築⑴
2022.01.25岡村 衡一郎
ビジネスを二つに分ける言葉はいくつもある。
例えば「元請け」と「下請け」。
「メーカー」と「小売」。
「旅行代理店」と「旅行実装店:ホテル・旅館」。
これらの言葉の背景には分業がある。
どちらかが、どちらかの前工程や後工程の関係にある。
しかしこれらのような二分された状況は右肩上がりだった時代のスキームかもしれない。
だとしたら外部環境の変化に合わせ第三のスキームがいる。
旅行代理店が「元請け」で企画を任せきりにしていては、いざとなったときに自社集客の力は衰えていってしまう。
旅行代理店の方も、旅行サポートの力は身につかない。
メーカーのいいようにブランド毎に売場を貸し出し、賃貸料での商売を続けていたら、メーカーの方も、小売店の方も、お客さまから離れていってしまう可能性が高くなっていくだろう。
お客さまの生活を考える。
役立つものを形にする。
お買い上げいただく。
企画する、商品化する、販売する、企業の一連の流れに分断をもたらしてはならない。
元請け的に商売をしていても、下請け的に商売をしても、旅行代理店的でも旅行サポート的な商売をしても、どちらかによっていても、企画する、商品化する、販売するという商売の流れはつくれる。
そして、自ら三つの機能を充実していくことで、ほかの機能が外注になっていても、互いに意見をぶつけあい発展していくパートナーとしての事業ができるようになっていく。
長年、女性用下着の OEMメーカーとして事業を営んでいる小林縫製さんが、工場直売店を開店し、地元のお客さまに、自分たちがもっとも自信がもてる、下着に長年携わってきた中で見えてきたプロのおすすめ商品の販売を開始した。
下請けと元請けの区分を超えての挑戦である。
小林縫製さんには海外はもちろん、日本国内で作れる下着の生産背景がある。
下着の価値を相対的にみえる力がある。
下着への愛がある。
長年、旅行代理店としてアレンジをしていた福山観光さんが、地元福山の企業の視察ツアーをはじめる。
企画から実装まで自分たちで行なう。
福山から県外へ人を送り出すだけのサポートだけでなく、福山に人を呼び込める存在になっていくための第一歩である。
福山観光さんの周りには福山から世界に出て事業を展開している企業がある。
あまり知られていないが社長の数/人口が日本一なのが福山だ。
そして、世界で活躍する中堅中小企業がいくつもある。
企画する、商品化する、販売する。
小林縫製さんは、商品化する能力に、自ら企画すること、自ら販売することを加えて、活路を拓こうとしている。
福山観光さんは、販売する能力に、企画する、商品化する能力を加えて、自分たちの貢献の幅を広げようとしている。
繰り返しなるが、分業は右肩上がりのときの効率アップのスキームだ。
企画すること、商品化すること、販売していくこと。
これらのどこが強いから、他の企業と組んでの仕事が成り立っているのだが、三つの機能を充実していくことで、右にも左にも、上にも下にも、組んでも、組まなくても、自在に展開できる、右肩下がりに強い自社に近づく。
次号で、小林縫製さん福山観光さんの取り組みをお伝えしていく。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 245」2021.11.19】