トライを止めるな
2021.12.22岡村 衡一郎
またまた緊急事態宣言である。
30 泊セット。
全国でも使える。
テレワーク利用。
オフィスへの転用。
これらのほかにも、さまざまなトライをしているホテル旅館は多いと思う。
コロナだからと言い訳になりがちな今、コロナでも、未来にもつながるトライを止めてはならない。
やがて来る、であろう旅行客の回復も今、試行錯誤を続けているところがまず先にできることをとらえられるものであるからだ。
私はお陰様で、お客さまのところに呼んでもらえる機会もあるから、出張ベースでホテルに泊まる機会がある。
その時に必ず近隣の利用状況を見て回るようにしている。
飲食店も可能な限りチェックしてみるようにしている。
ホテルの満室も飲食店でも満席もあるはずもないが、稼働率の高そうなホテル、利用客の多い飲食店が必ずといっていいほどあるものだ。
一人利用も多いから人数はピークよりは少ないが、ほぼ、すべてのテーブルにお客さまがいる焼き肉店。
一人、二人、家族利用とバランスよく集客できているホテルなどが、少数派ではあるが存在する。
前者には、おいしく、体への良さを配慮したセットメニューが目玉商品として存在していた。
後者は、部屋のしつらえ、朝食、フリードリンクなどの品ぞろえがいい。
二つとも激安ではない。
価値と価格のバランスがいい。
焼き肉店の目玉は 1680 円セットメニューであった。
焼き肉と生野菜と付け合わせ。
7 種類の皿に盛られた商品は、値段以上の満足を与える。
おいしい価値と肉以外も食べられる体によい感覚的価値ももたらしている。
味は真心とレジ横に掲げる経営理念を商品で感じ取れる。
一人、二人、家族利用とバランスよく集客できていたホテルは、その日に泊まることができるホテルの中で過ごせる部屋の外でも気兼ねなく居られるハードの工夫と、プラスでお金を払わなくとも多少優雅な気分ですごせるドリンクの提供もある。
朝食メニューはバイキング、その中に前菜メインデザートの目玉を用意している。
部屋そのものが 4000 ~ 6000 円の場合。
部屋の外ですごせる価値、朝食の価値を考えると、5000 円くらいを 4000 円で、9800 円くらい 8000 円で利用できている感覚。
お値打ち感のある設定にできているのは、近隣ホテルの倍の利用客がいるということに起因する。
30 泊セット。
全国でもでも使える。
テレワーク利用。
オフィスへの転用。
コロナのトライは、これ以外にもあると、利用客の多い焼き肉店やホテルを発見する度に思う。
隣の飲食店、向かいのホテルにはあまりお客さまはいない。
選ばれる要になるのは価値と価格のバランスだ。
その日、その時間、お客さまの欲求を最もリーズナブルに叶えてくれる所にお客は集まる。
需要と供給のバランスが崩れれば、価格は下方に流れていくのは経済の原則だからしかたがない。
しかし、価格は価値に対する値付けである。
価値を高める仕掛けをなるべく細かく、部屋の価値、付帯施設は、サービスは。
すべての価値を見直した上での、最良の価値/価格のバランスを高めていくトライを止めてはならない。
相対的に利用者が減れば減るほど、このバランスが厳しく求められるようになるし、未来も、求められるものだから。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 238」2021.9.24】