パソナ・地方創生の取り組み ⑴
2021.12.14岡村 衡一郎
先日、パソナが挺身して取り組んでいる地方創生の現場を訪問させていただいた。
ご存じの方も多いと思うが、場所は淡路島である。
マス媒体やネット情報では、ゴジラやハローキティーのアトラクション施設などが目立っているように感じるが、それらは、地方創生の側面のごく一部である。
パソナの目標は、淡路島での雇用を1 万人つくり出すことにある。
出発点は、首都圏の一極集中であることや、オフィスワークの働き方にバリエーションがもっとあっていいという社会問題解決の視点だ。
パソナという会社は、社会の問題を解決することを使命として掲げている。
女性の社会進出を契約社員という形態で、よりやりやすくしたのが、派遣事業をはじめた原点にあり、女性の社会復帰のしにくさという、問題の解決を図ったのが原点にある。
淡路島で働く社員には、午前中はオフィスワーク、午後は飲食店、夕方から劇団での演劇活動をするといったパラレルワークの社員も数多くいる。
働き方には、もっとバリエーションがあった方がいい。
この主張を自分たちがまず実践していることに、その本気度を感じた。
ほかにも、首都圏在住のパソナスタッフと組んで淡路島から首都圏の仕事をするスタッフ、演劇がメインでオフィスワークがサブ、月の半分は淡路島など、働き方の選択はさまざまだ。
1日の淡路島地方創生体験ツアーでは、次の 6カ所をパソナの社員さんに案内していただいた。
① ホテル内の元飲食店を改装したオフィス見学
② ワーケーション施設見学
③ 公園内アトラクション「ゴジラ」
④ パソナ直営レストランと演劇ホール
⑤ 地方創生の一号店、野島小学校あとの「野島スコーラ」
⑥ 住宅マンション、オフィス、保育園が一体となった施設
パソナ地方創生・淡路島の全貌とまではいかないが、この 6カ所から感じたことを、それぞれお伝えさせていただくことで、中心にあるものと伝えていきたいと思う。
一番目のホテル内の元飲食店を改装したオフィス見学では、地方創生で重要なストックのフロー化の実践を垣間見ることができた。
大きな箱、今回は元飲食店であったスペースがストックである。
前テナントの大型飲食店では収益が出にくかったので撤退。
ほかの利用方法が必要になっていたところを、オフィスにコンバートして使用している。
二番目もストックのフロー化の実践例である。
元かまぼこ工場を、ワーケーション施設としてコンバートして利用している。
大きな窓から海が見える仕事場は、仕事とバケーションの融合した空間とし
て提供されている。パソナ調べでは、ワーケーションという言葉を知っている人は 9 割を超えるが、やったことがある人は1割にも満たないということであった。
だからこそ、モデルとなって世の中に示していきたいのだという。
一番目の施設も二番目の施設も自分たちがまずやってみる。
そして分かったことを世の中に還元していくというパソナ哲学に触れることができた。
多くの地方で、かつての活性化施策で建設された建物がストックとして残っている。
今必要なのは、残されたハード、ストックをフロー化する知恵である。
3 番目から6 番目も同様だ。
次号に続く
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 235」2021.9.3】