チェンジするためのコンセプトの見つけ方⑵
2021.10.27岡村 衡一郎
今回は、前回に引き続き変革コンセプトの見つけ方である。
前回は「なぜを 5 回」で問題を掘り下げていくアプローチであった。
問題の真因に迫る過程で、今までの前提としていた見方や考え方にシフトを伴えば、自分たちが変化をしていく。
「原因は Aである」ではなく「真の原因は B である」にたどり着けば、業界常識を超えたところで手を打つことができる。
事例として触れたのは、スクールの退会率に対する問題解決のアプローチであった。
一人一人の先生の違いを原因としていたのが以前の状態。
違いを指摘し直してもらうという従来型のアプローチでは結果がでなかった。
そこに生徒がはっきりとは言葉にしていない期待を見つけて高めていくための方策を打っていくアプローチで、継続率を向上させていった。
生徒の要望に、上達はもちろん、レッスンの楽しさ、仲間ができる、ケガの防止などの要素を加えカリキュラム自体を組み直して、継続率を上げていった。
以前のアプローチは、業界の常識で、対策に違和感を持つことがないが、成果につながっていない状態であったところに、先生ではなくレッスン自体の商品力に焦点をあてたのが、当時の業界常識を超えていた。
問題解決に着手していない会社は存在しないが、解決する過程を飛躍のプロセスにできている会社は少ない。
「なぜを5回」は問題解決を起点に能動的に変わっていくためのアプローチだ。
「〇〇で当たり前」や「〇〇に決まっている」と思い込んでいるものの発見が肝にある。
「なぜを 3 回」で考えるモードに入り、残り2 回のなぜで思考をブレイクスルーしていくのだ。
「なぜを 5 回」が能動的に変わっていくための「気づき」のアプローチに加えて、「おどろき」起点の変革コンセプトの発見の仕方がベンチマーキング調査になる。
同業種や異業種の世界で、日本で、最もうまくやっているところを調べて、自分たちの変化に生かしていくやり方である。
変化のための方法として活用していくには、ベンチマーク先の設定と、その見方が大切になる。
ある食品製造業で、業界平均の半分の人員で倍くらいの生産を実現できている生産性の高い工場があった。
その工場では、生産性がよい事例を絶えず業界を超えて調べて研究をしている。
特に自動車業界の方法論には、より突っ込んで、自社の方法に展開できないかと考えている。
もっといい方法、やり方をしているところはないのかが、彼らの口癖である。
業界ダントツの一単位当たり低コストが実現できているのは、「おどろき」を絶えず探して、自分たちのモノづくりの方法を固定させないからである。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 213」2021.3.12】