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COLUMN

いい会社づくり通信

チェンジするためのコンセプトの見つけ方⑴

2021.10.25岡村 衡一郎

「何かを変えていかねばならない」。
確認するまでもないが、2021 年はどの業種でもチェンジがテーマだ。
しかし必要性は分かっていても、方策や見つけられないという足踏みがチェンジにはつきまとうのではないだろうか。
最も重要なのは、変化する対象と発見である。
図表は、故・金田秀治氏から教わった変化する対象の見つけ方だ。
「きづき」「おどろき」「ひらめき」を生み出すための着眼点である。

変化する対象の見つけ方

 金田氏は、製造部門のオリンピックがあるとすれば、世界一の金メダルをいくつも持つ、チェンジ請負人である。
私たちの、変われない根っこにあるのは、「自分たちの固定観念や業界常識に縛られているものの見方ととらえ方」だ。
金田氏の教えのもと「きづき」「おどろき」「ひらめき」を源泉とする変化を多くの業種で応用展開してきた。
詳しく知りたい方は、金田秀治の書籍を手に取ってほしい。

 まずは「きづき」ベースから見ていこう。
現状の問題点からの変革コンセプトをあぶりだしていくアプローチだ。
「問題点」と「原因」という切り口は、多くの企業で議論されている。
しかし繰り返し、なぜ、なぜ、なぜ、と真因に迫れているかというと、どうだろうか。
あるスクール事業を見ていこう。

 利用者の退会率上昇という「問題」についての「原因」は、担当している人の問題で終わっていた。
そうなると、当然、対策は担当者を上司が指導するということになる。
これで成果につながればいいのだが、一向に退会率は下がっていないという状況が続いていた。
理由は、退会率が高いのは、先生の問題だ。
これでは掘り下げが足りないのは、第三者なら当たり前に分かるだろう。

 しかし彼らはいたってまじめに原因を特定しているのである。
背景にあるのは業界常識「先生によって継続率は決まるもの」であった。
業界常識=正しさが真因へのアプローチを邪魔していたのだ。
なぜ・1 は「なぜ先生によって違うのか」。
なぜ・2 は「共通のトレーニングが不十分だから」。
なぜ・3 は「スクールのカラーを決めていないから」。
なぜなら、お客さまの真の欲求の洞察が甘いから、とより突っ込んで考えるモードができあがっていく。
なぜ・4 からの「なぜ洞察が甘いのか」という問いが重要になる。
なぜならスクールに来ることで上達すると思い込んでいるからという考えにつながる。
なぜ・5 で「本当に上達目的だけでスクールに来ているのか」と、核心にせまるアプローチできるようになる。

 ここまで掘り下げてはじめて、お客さまがスクールに求めるものへの洞察がはじまる。
洞察をはじめた彼らが、退会率改善の真の打ち手を見つけるには、そんなに時間はかからなかった。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 212」2021.3.5】