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COLUMN

いい会社づくり通信

お客さまの理想に近づけるための場所

2020.08.31岡村 衡一郎

 医療機器を取り扱う㈱セントラルユニのマッシュアップスタジオは、新しいアイデアが生まれる仕掛けに満ちている。
マッシュアップスタジオは、商品を展示することを目的とした、ただのショールー ムではない。
最適空間を生み出すための創発場としてつくられた場所である。

 名前のマッシュアップには次のようなニュアンスが込められている。
マッシュには、お客さまとセントラルユニ・スタッフの思いが混ざりあう意味合いを。
アップには、互いの思いが結びつき価値アップにつながるアイデアが生まれる機能を果たしていくことを。
お客さまと自分たちの良質な対話を目的にさまざまな仕掛けを施した。

 写真は、マッシュアップスタジオ内にあるシミュレーションルームだ。
2Dで描かれた手術室の図面を3Dで原寸大に映し出しながら対話が行なえる。
使用者は、立体空間の中に入りこんだような感覚が持てる。
設計者は、要望を伺いながら、瞬時に要望を画面上で形にしていけるのだ。

 打ち合わせは、図面で行なうのが一般的である。
手術を行なう人たちにとって、図面は見なれたものではない。
細部までのイメージを持とうとも持てないことが多い。
今まで不具合を感じている所や使用状況を出し合った意見も、どこにどう反映されているのかを十分に確認しにくいのだ。
設計者も使用者の意向に沿った形でつくりたくても、使用者イメージをクリアに吸収するすべがなかった。

 理想の手術室をつくる。
使用者側にとっても設計者側にとっても、目指しているが、なかなかそうならない。
この問題にセントラルユニは、目をつけたのだ。

 お客さまの理想を形にする。
業種業界を問わず求めているテーマの一つだと思う。
しかし理想を追求したはずの商品・サービス の大半は、プロダクトアウトに偏ってしまうか、お客さまのはるか先にいってしまう。
もっとこうしたい、こんなふうにならないか。
マッシュアップスタジオは、理想をシミュレーションできる場所として、お客さまと活発な意見交換が日々行なわれている。

 お客さまとの間に商品・サービスを置いて、今の不具合や、本当に欲しいものについてのやりとりをする。
お客さまの理想を形にする上で外せない作法は、業種業界を問わず何らかの形で取り入れていこう。
サービス業なら、そのとき、その場で、お客さまに確認できるのだが、意外にやっているところは少ないかもしれない。

マッシュアップスタジオ「シミュレーションルーム」㈱セントラルユニホー ムページより

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 146」2019.9.13】