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COLUMN

いい会社づくり通信

顧客との創発は社員同士の創発の場「アジト」が支える

2020.09.08岡村 衡一郎

 前号で医療機器メーカー㈱セントラルユニが、お客さまと理想を話し合い形にしていくための場所としてつくったマッシュアップスタジオについて触れた。
理想の手術室を考えるための機能として、手術室3Dシミュレーションを、その一例として取り上げた。
だが、マッシュアップスタジオは、顧客から見える部分だけに力を入れているのではない。
社員同士の創発を促すオフィス「アジト」が、顧客との創発を起こせる本質と言えるかもしれない。

 写真がマッシュアップスタジオ内にある「アジト」だ。
社員は「アジト」で、お客さま向けの提案を考えたり、資料を整理したりしていく訳だが、事務所全体が対話に適した空間に仕立ててあるのだ。

 例えば、壁面を見れば、誰がどんな仕事をしているのかが瞬時に分かる。
そして、検討中の内容もボードに記してあるから、ほかの社員は、アイデアを思いついたらすぐに書き込める。
ミーティングがしやすいテーブル配置はもちろん、医療業界以外でも参考になりそうな情報が見つかれば、アイデアボードですぐに共有されていく。

 私が、最も驚いたのは、社員は自由に、面白いと心動かされたものは、なんでも持ち込める点だ。
「アジト」内には、野球盤あり、ボードゲームあり、アートポスターあり、ユニークな形をしたオブジェあり、雑多に多様な品々が、ざっと300種類ぐらい置いてある。
これらの雑多モノたちは、顧客との対話を創造性にリードする際や病院への新しい提案を考えるときにじわりじわりと効いてきているという。

「アジト」では、自分が心動かされたものを持ち込んだ際に、理由を聞き合うのを習慣にしている。
この習慣は二つの意味でよい作用をもたらしている。
一つ目は、相手から見てどうなのか、考える想像する力の向上だ。
もう一つは、一見つながらないと思えるものをつなげて考えることで見えてくる創造力を養うのだ。

 良い病院づくりのパートナーを目指している㈱セントラルユニのマッシュアップスタジオでの対話が創造的になるのは、対話をコーディネイトする社員の想像力と創造力に支えられている。
前号で紹介させていただいた3Dシミュレーションは、創発する社員がいてはじめて本当の意味で活用されているのだ。

 お客さまとの間で、起こしていきたい関係を、自分たちが先行してやっている。
この内外一致の努力が、マッシュアップスタジオを輝かせている。


㈱セントラルユニホームページより「アジト」

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 147」2019.9.20】