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COLUMN

いい会社づくり通信

単位を小さく、ひらすら小さくで、世界一に近づく

2019.11.25岡村 衡一郎

 新聞によると、イギリスにあるトヨタ自動車の工場の在庫は4時間分だそうだ。
ECの諸条件に関して、意見を述べた記事に そう書いてあった。
4時間の在庫は、サービス業の方には分かりにくいかもしれないが、レストランの冷蔵庫や、部屋で用いるシャ ンプーの在庫を、半日分もって、事業を回転させていることに近い。
それが、日本の裏側にある工場の話であるが、ゆえに、そのすごさを感じる。

生産ロットを小さくしていくことで、半日分の在庫になっている。
売れた分だけつくるという究極のゴールに向かって、取り組んでいるから、できるのだろう。
問題解決が上手な企業ほど、仕事の締めは頻繁に訪れる。
ビジネス用語でいうところのPDCAのCの頻度が、まったくもって違うのだ。
イギリスの工場では、数万人規模の取り組みにもかかわらず、一日2回、改善のチャンスが訪れていることになる。

 自分たちの事業や計画は、どれくらいの頻度の手直しをかけているだろうか。
いやかける仕組みの上で仕事をしているだろうかと、問うた方がいいのかもしれない。
手直しをしないでいいと思っている人は、いないが、その仕組みを問題にすることは少ないからである。
例えば、多くの企業の仕事の締めは月次であることが多い。
1カ月分のデータをまとめて、それを見て手を打とうと頑張っている。

 仮に改善が思ったように進んでいかないとすれば、意気込みよりも、どれくらいの頻度で見直しをかけているのかと考えた方が よさそうだ。
ひと月単位。
これが、そもそも、あっているのだろうか。
レストランで世界一のランキングに入っていた、エルブリ(スペイン)では、夜7時に、もっとこうした方がいいと分かれば、8時以降のメニューに改良が加えられていくという。

 私の支援先でも、いい会社という評価を受けている企業の手直しの頻度は、1日に3回、朝、昼、午後3時のチェックポイントがある。
そして夕方に明日の対策を練り業務が終了となる。
1日に合計4回、仕事のプランを練り、振り返る機会がある故に、 変化のスピードは早い。
分かったことは、かかわる人で共有され、好事例が全社的に展開されていく。
繰り返しになるが、見直すための仕組みがあるのである。

 1カ月ごとの進捗会議、これで有効な手立てが、考えられ、早く実践に移せるだろうか。
より良き方向に変わっていくための具体策は、単位が小さい方がいい。
私が知る限りにおいては、1時間が最も短い。
単位を小さく、小さくしていくことは、問題を 浮かび上がらせる上で、とても大きな力を発揮する。
まとめてやろうとすれば、するほど、問題点の特定や改良点のあぶりだしが難しくなっていく。

 1カ月であったものは、2週間に。
2週間であったものは1週間に。
1週間であったものは1日に。
1日を半日に。
半日を1時間に。
少しずつ振り返りと対策立案の頻度を上げていこう。
より 小さなマス目での改善点をあぶりだす方が、まとめてやるよりも簡 単なのである。

 月時の進捗会議にあきあきとしている人も多いと思う。
それは 話し合いの仕方に問題があるのではなく、振り返る単位の大きさに問題がある。
仕掛けを変えよう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 110」2018.11.9】