違和感が革新の源泉
2019.10.16岡村 衡一郎
沖縄県那覇市の若狭公民館が、第70回優良公民館賞を受けた。
公民館は地域住民へのサービス業という見方ができるかと思う。
新・館長の就任時の違和感が、利用者数大幅増につながったのだ。
「最優秀館」として日本一に選ばれた取り組みは、今ある施設を、どのように、リ・ブランドしていくのかのヒントがある。
新・館長は表に出ない。
公民館を利用する主役を多くつくるのだ。
面白い企画はいくつもあるが、その中で特にユニークなのが、100人で行なった「だるまさんがころんだ」だ。
隣接する公園を利用して、地域の人に、もっと遊んでほしいと考えていたところ、思いついたアイデアたと言う。
元アーティスト、陶芸家、首里城の復元作業の経験もある新館長・宮城氏は、あるものの活用に関しての目利きが一味違う。
今るものに、もう一度命を吹き込む目を持っているのだ。
就任当時に感じたのが、時間とお金にある程度余裕のある人たちが、施設を使っている現状だった。
公民館という本来的な意味に立ち返れば、今、活用してくれている人に加えて、もっと広く地域の人に利用されるべき、という感覚を持ったそうだ。
現在のホームページには、次のようにメッセージをうたっている。
(2018年度は、NPO法人地域サポートわかさが指定管理者になって4年目、2期目に入りました。
昨年(2017)度は、全国公民館連合会の「第2回全国公民館インターネット活用コンクール」において最優秀賞(二連覇!)の栄誉に輝いたほか、文科省「優良公民館表彰」では、全国約1万4千館の公民館の中から「最優秀館」に選ばれるなど、これまでの取り組みが評価される嬉しいできごとが続きました。
今年度も引き続き「とりあえず、若狭公民館へ!」というテーマのもと、やりたいことや困ったことがあるというときに「そうだ!公民館へ行こう!」と思われるような頼りになる公民館を目指していきます。
より良い公民館活動ができるように、職員一同力を合わせて頑張りますので、皆さまのご理解ご協力をよろしくお願いします。)
(若狭公民館HPより)
地域には子供も年配の方も若い人もいる。
婚活でも、英会話でも、カルチャー教室でもいい。
「特定の人が使ってくれる公民館」から「地域の人たちが主体的に活用する場へ」。
新館長宮城氏は、リ・ブランドへかじをきった。
まずは自分の違和感を全職員と共有するところから、職員との話し合いを繰り返してアイデアをひねり出し、いきついたコンセプトが、やりたいことや困ったことがあるというときに「そうだ!公民館へ行こう!」と思われるような頼りになる公民館になる、であった。
やりたいことがあったときに、一緒に働いてくれる公民館。
この地域へのスタンスから生まれた商品はユニークなモノばかりだ。
一品持ち寄り「朝食会」、ネパールの(家庭)料理教室、うみそら上映会 in 若狭など、地域の人か、職員のこうしたいを形にして、集まる、集まらない、審議をする前にどんどんと打ち出していく。
新館長・宮城氏の違和感は、地域の人の思いを覚醒する。
公民館と地域の人が持っている技能の新結合は、変わり続ける公民館の原動力になっている。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 105」2018.10.5】