情報を創造のインプットに変えるために話し合う
2019.09.09岡村 衡一郎
先日、A社の営業会議に参加させていただいたのだが、会議の質がとてもいいことに驚いた。
話し合った後に参加者の一人一人の視座が高まっていくのだ。
会議の冒頭に、こんなことに困っていると相談を持ち掛けると、十数分後にはクリアな結論を持ってかえられる。
全員で話し合うというと、一人一人の問題なり課題なりを一緒に考えて解決手段をあぶりだしていく雰囲気がある。
よくよく聞いていくと参加者同士の質問のし方が全く違うことが分かってきた。
何をやったのか、相手の取り組みを聞く質問はほとんどない。
代わりにあるのは、気づいたのか、そこから次に生かせそうなことは何か、二つの質問である。
問を発する側も、その視点でじっくりと相手の話を聞いている。
聞きながら、こんなことに気づいた、とか、これは生かせるのではないか、とコメントしている。
部下が言うことを聞いてくれなくて個別の時間を取ってみた。
一般的には、その状況を知るために、話を聞いている人たちは、いつ、とか、どれくらい、とか、相手はどんな感じだったなどの、部下と話し合っているシーンを思い浮かべるために質問をしていく。
状況が分からないままに相手につっこめないと思っているか、もっと話を聞いてからにしようと考えているか、理由はだいたいこんなところにある。
しかし、よくよく考えてみれば、状況が克明に分かったところで、何らかのアイデアにつながるとは限らない。
むしろ、話している方にとっても、分かっていること、知っていることを周りに伝えているだけになるから発見は少ない。
情報共有に終わって、情報創造にはなっていかないだろう。
A社の会議は情報創造型である。
参加者どうしが、いまここで気づいたことを出し合い、情報に意味が加わるからだ。
そして、意味を持った情報の中から、次に生かせそうなことを決めていくのをゴールにしているからだ。
これをリンゴに例えてみると、次につなげる種を見つけるために話し合っている。
結果、会議の参加前と後では、ほぼ、全員の視野が広がっていく。
自社の会議は、やってきたことの共有で終わっていないだろうか。
もし終わっているとしたら、やって気づいたことに話題をずらしてみよう。
話している本人だけではなく、周りの人も、気づきを出し合えれば、より創造に近づける。
気づきが出し合えたなら、生かせそうなことに、論点をより中心に持っていこう。
人の話を、わがことのように考える人たちの話し合いは、情報を創造にインプットできる。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 101」2018.9.7】