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COLUMN

いい会社づくり通信

「自社ならでは」こそ、いつも新鮮に

2019.09.02岡村 衡一郎

 サービスイノベーションで一貫してお伝えしてきたのは、「自社な らでは」をいつも新鮮に感じられる私たちでいるために、能動的に変化を起こすチェンジングメソッドです。
作り手売り手である皆さんが、自分たちの商品を新鮮に感じられている、本当に気持ちが入るおすすめ商品であるのが、業績と働き甲斐の双方が同時に向上する原動力になると私は考えています。
商品への誇りと会社への愛着を持てた人たちは成長を続けます。
コア商品の価格/価値、コーディネイト商品の価値/価格を高め続ける実践が日々の仕事に内包され「仕事=タスク+改善+変化」という、仕事の進め方が日常になっているからです。

 不思議なもので、売れている、もしくは、売れていた商品は、社内で脚光をあびずに、放っておかれているケースもめずらしくありません。
うまくいっている本質をとらえて、さらに発展させていく。
ブドウがワインになるように飛躍させる思考と行動は、目の前に立ち上がってくる分かりやすい問題の前に取られないままになって います。
例えば、売れていない商品をなんとかしようとか、部門の壁や事務所の雰囲気をよくしていこうなどの現状的な問題解決に走ってしまっているのです。

 会社とはお客さまとの関係です。
お客さまとの良好な関係は、 今も昔もこれかも「〇〇ならではの〇〇」の商品で作られます。
「自社の売りは○○」というのは、マーケティングの売り文句ではありません。
自分たちにとって、その商品が、今もこれからも、本当におすすめできる商品であるプライドがのったメッセージです。

 消費経験豊富なお客さま中心の今の時代は、お客さまは買い替えるに値する理由を持った商品を探しています。
今どうしても欲しいものは何ですか。
この質問を投げかけてみると、多くの人 は一部の趣味品を除いては、ないと答えるのが今の成熟したマー ケットです。

「らしさ」、「面白さ」、「素晴らしさ」、などのお客さまの感動につながるものがなければ、買い替える理由を喚起や、購入する会社のスイッチは生じないのです。
自分たちの存在の表明として 「私たちはこれです」となれたときに、市場の中で訴求力を発揮するものになってきます。

 パークホテル東京の「アーティストルーム」の数々は、個性で相手をびっくりさせる、小野支配人の仕事観が、バーンとでているから感動につながるのです。
「パークホテル東京」ならではの 「アーティストルーム」は、ホテルに新しい楽しさを求めているお客さまに伝わり、アートならパークホテ東京という認知を獲得しまし た。

 コア商品を顧客最適に仕立てるプロセスは自分の苦手と向き合いながら一段上のプロデューサーになるための実践でもありま す。
パークホテル東京の小野支配人は苦手意識のあったリーダー シップを発揮して200人を超える人を日本の美意識の表現に向かって束ねています。

 サービスイノベーションでは、一貫して、人の成長と商品を切り離さず、能動的な変化のための方法論をお伝えしてきました。
何かを変えるというのは、精神論だけでも具体策だけでも機能しにくいのです。
これからのホテルづくりに少しでも参考になってい れば幸いです。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 100」2018.8.24】