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COLUMN

いい会社づくり通信

かかわる、踏み込む、見つける

2019.08.19岡村 衡一郎

 社員が、ある理由で会社を去っていった後、上司や同僚は、 次のような言葉で、その人との関係を振り返る。
・かかわればよかった。
・踏み込めなかった。
・見つけられなかった。

 会社を辞めていく理由は人それぞれに異なる。
「実家に帰ら なければならなくなりました」。
「前からやりたかった仕事がみつ かったので」。
「あの人と仕事をしてみたいのです」。
これらは 転職するとは決めてなった出来事かもしれない。
しかし、実際 は、職を変えるという結論に行きつくまでに、なんらかの問題なり、課題があることの方が多そうだ。

 私の仕事には、辞めていった人にインビューをさせていただく機会がある。
会社を去る理由は、あれこれとあるものの根っこに あるのは人間関係であるのが大半だ。
そして、その関係を自ら が解決しようと動けてはいない。
いないから、別の場所で働くこ とを決めてしまったのです。

 相手の責任のままにしておいては、また別の人がそうなるとも限らない。

 そこで、退職者の上司や同僚とも、なぜAさんは辞めていってしまったのか、どうすればよかったと思うのかを一緒に考えるようにしている。
残ってほしい人材であったなら、とても大切な振り返りになるからだ。
先にも触れたように、タラレバでの振り返りの結論にかかわれば、踏み込めば、見つけられれば、に集約される。
―かかわればよかった―

 背景に互いへの遠慮から言いたいことが言える関係になれなかった反省がある。
―踏みこめなった―

 いろいろ話せるが一歩踏みこまなかった。
踏み込まないから相 手も自分も変わらない。
―見つけられなかったー

 踏み込んで、いろいろと活躍できるところを模索したが難しかっ た。
 一つ目の職場なら、互いのプロフィールを知り合う所から、関係の再構築を支援するようにしている。
仕事につく前に、どんな道のりを歩んできたか。
これから関係をつくっていく上で、相手を知り、自分も知ってもらうことで、気軽に声をかけ合うようになってもらうのだ。

 二つ目の職場なら、互いの成長にかかわっていくための糸口を見つける支援をしている。
具体的には、相手のよいところ、今一つだと感じていることを、互いに二つずつ出し合って、何を感じたのかを話し合うところからはじめていくのだ。
互いに出し合えれば、サポートが必要なところが見えてくるからだ。

 三つ目の職場なら、互いのストレッチ目標を、お互い考えていくことを行なうようにしている。
今の役割にマンネリせずに、なにを目指していけばいいのかは、自分よりも周りの人の方が見えることが多い。
そして、お互いの仕事の未来像を一緒に考えていければ、そこは、よい職場になっていくからだ。

 人が流動的な職場がホテル業と考えていては、社員の定着率は上がっていきにくい。
辞めていった人とのかかわりは、いま 三つのどこにあるだろうか。
一つ目であるならば改良が即いるだろう。二つ目であれば、ベテラン社員どうしから、互いの仕事につっ こむことをはじめていこう。
三つ目であれば、時間をずらして、少し先の目標を話し合っていこう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 098」2018.8.3-10】