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COLUMN

いい会社づくり通信

みんなの商品という推進力

2019.07.31岡村 衡一郎

「桜風」は葬儀文化を創造するという三和物産の原点を継いだ棺である。
この認識を共通に持てた瞬間に、「桜風」は社長の企画から皆の商品になった。
この商品を伸ばそう、と営業店で、経営会議で、商品会議で、立場肩書を離れた侃々諤々の議論の末に決めた施策の推進力は以前の3 倍から5 倍の推進力
がある。

 写真は、全社員が集まって桜風に込められた思いを共有した場である。
「桜風」ができるまでの数々の失敗談、お客さまの感想や、実際数多く販売している人の体験談、そして60 年の歴史をさかのぼり先達の挑戦に思いをはせた。

 三和物産株式会社は、創業60 年を超える業界での老舗メーカーである。
創業期の第1 期は、誰も思いつかなかった加賀友禅のB 品を故人の着物として転用したことから順調なスタートを切る。
第2 期になると、同社の主力商品となる白木の祭壇が登場する。
日本の寺院を研究し尽くして、当時なかった祭壇を、世の中のスタンダートにしてくれた先達がいた。
第3 期は、時代的にもバブル経済の絶頂期。「白木の三和」という会社の代名詞的な存在に祭壇は成長した。

 社員と歴史をさかのぼっていく中で、加賀友禅の転用しかり、寺院仏閣を研究し尽くして開発した「白木の祭壇」しかり、先達の取り組みに思いをはせる中、自分たちが引き継ぐべき「スピリット」を改めて感じ取った。

「葬儀文化の創造」という会社の中に流れる言葉が、何を意味するのか、その本質をつかんだ瞬間だ。
「桜風」の健闘と「葬儀文化の創造」はつながっている。
桜風は「お葬式は基本的に白と黒の組み合わせで味気ない」というお客さまからの声で、共同開発で取り組んでいた棺である。
葬儀の場でも違和感のない薄いピンクの桜をモチーフに、春が好きだった故人や、故人との春の思い出を偲べるようにとの思いを込めて開発した「桜風」は、喪主からの感謝の声を多くいただいていた。

「桜風」には、葬儀に新たな文化創造の兆しがある。
3代目社長のセンスを生かして、お客さまと取り組んできた、故人それぞれを偲ぶための棺は、白木の祭壇ほど大きなヒットにまだ至ってはいないが、会のスピリットが「桜風」の中に集約されているのは間違いない。

 これから先、オリジナル棺に全社員が心を合わせて取り組むという機運は、DNAとして持っている「新しい葬儀文化の創造」がある会社だからこそ高まる。
新たな独自の一手を試行錯誤してきた社員にとって、全社での方針共有の場が、盛り上がったのは説明するまでもないだろう。

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【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 096」2018.7.20】