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COLUMN

いい会社づくり通信

一人じゃ問題に気づけない

2018.10.01岡村 衡一郎

 問題に気づき、改善して、目標に近づける。いわゆる See-Plan-Doのサイクルを一人で回せる人は限られるだろう。
プロのアスリートにだってフィードバックのコーチがいる。
誰だって自分が考えうる最良のやり方を選択しているのだから、一人では問題点や改良点は見つけにくい。
だからこそ、問題発見のためには、親しくも厳しい第三者の目が必要になる。

 問題に気づければ、問題の半分は解決したようなものだ。
さぼっているというよりも、気づけないから解決していかないことの方が圧倒的に多い。
A 社の工場では、自分が担当する工程以外をじっとながめて、改善点をフィードバックする時間を意図的に取っている。
営業活動が上向きになってきているB社は、営業会議中に 3 分間ロープレを積極的に行なっている。

 両社とも問題発見のために親しくも厳しい第三者の目を用いるようになってから、改善、改良のスピードが上がっている。
A社では、自分がその工程を担うとしたらどうするかを考える機会が、相手の工程と自分の工程を見直すヒントをもたらし、B 社では会議室の中に現実に近いアクションを再現した改良点のあぶりだしが、商談の質を変えるきっかけをつくる。

 自分だったら、こうする。
初期のイメージは、仕事に慣れる前だから見えてくる。
慣れによるメガネの曇りが取れなければ、課題は見えてこない。
仕事の達人が自然に学ぶのはそのためだ。
あらゆる虫の形態を観察してトラック車体の流線形を考える。
川の流れをずっとながめ駆動部分を円滑にするヒントを得る。
比較対象を持ちアイデイアをふくらませていくのだ。

 自然からでも親しくも厳しい第三者の目からでも、問題に気づくためには比較対象がいる。
参考になりえる質の高い意見やモデルになる材料のインプットがいる。
A 社の担当以外の工程を眺める時間、B 社の 3 分間ロープレ、これらの取り組みには、評論には終わらない工夫、良質の意見となる仕掛けがある。
責任を持った意見をアウトプットにするための工夫だ。

 図は、A 社 B 社に共通するフィードから課題創出までのフローチャートだ。

 ①参考になるところ、②いま一つだと感じるところ。
①と②が前工程。
③自分ならこうする。
③が本工程。④意見を集約して何を課題に設定するのか。④が後工程になる。
フィードバックの大切さを感じながらもうまくいかないのは、①と②分析と個人意見で終えている場合が多い。

 相手の仕事に自分事として深く入り込む。
この有機的な関係が、問題発見と解決のベースになる。
誰だって一人では問題に気づけない。
See-Plan-Doを Co·See-Co·Plan-Co·Do に。
親しくも厳しい第三者の目を生かしていこう。
複数の目と頭を生かし合える本当のチームになるために。

055図

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 055」2017.8.25】