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COLUMN

いい会社づくり通信

変化脳を鍛える モノの見方と掘り下げ方

2017.11.21岡村 衡一郎

 変わるために必要なのは、未来へのイメージである。
ごつごつとしていても、すっきりとは見えていなくとも、イメージを持てるか否かが、現状維持と変化への分かれ目になる。
ラフスケッチに近づけて行こうとする試行錯誤が変革実践だ。
「ああしよう」「こうできたらいいな」などの原設計が先にありきで、詳細設計はやりながらで分かっていくものだ。

 未来の絵姿は机上で考えても出てこない。
トヨタのかんばん方式は、アメリカでのスーパーマーケットでの買い物がイメージを喚かんき起させた。
棚から一つ商品を取り出すと、後ろから一つ商品が出てきた瞬間に、一つ注文が入ったら一台の車がつくられるという構想につながった。
スーパーマーケットの出来事をスケールアップさせ形にしたのだ。

 スケールアップして考えるのが得意な人は、変化するイメージをつくるのがうまい。
同業他社はもちろん、他業種、自然、歴史からのヒントを自社変革に応用させることができる。
例えば、同業他社1000 店舗の好事例を自社流にまとめたスターバックス。
小川で石と石の間を滞りなく流れる落ち葉をヒントに、JRの旧自動改札機に切符がつまる問題を解決したオム
ロンの技術者。
あらゆるアミューズメント業を参考に、野球の楽しみをつなげた広島東洋カープ。
歴史上の哲学者を複数モデルに、その人なら目の前の問題をどう解決するかと考えるコンサルタントなど例を挙げればきりがない。

 変化脳を持っている人、絶えず新しいアイデアが湧き上がってくる人は、さまざまな事象を自社の変化へ応用する。
部分モデルから自社変革へのトランスレートにはコツがある。
そのコツは、見方、広げ方、掘り下げ方の三つだ。

 一つ目の見方のコツは、「お客さまは強みと付き合っている」という前提にある。
どんな企業やお店を見る際も支持されている理由に焦点を合わせることだ。
いたらない部分の評価が先にきては情報を生かせない。
相手の良さを自分たちならどう展開するのかという視座が自社変革へのインフォメーションを浮かび上がらせる。

 二つ目の広げ方のコツは、「業種を超えた部分モデルの応用」である。
空間はA社とB社をヒントに、生産システムはC社とD社を、商品説明はE社とF社と、業種を問わずに光っているところを部分モデルにすることだ。
あの業態だからできるという視点は、変化の材料をあぶり出す上では不向きな考えだ。
違いを議論しても生かせないのは言うまでもないが、極められた要素は横展開ができる精度の高いものだ。

 三つ目の掘り下げ方のコツは、「支持されている理由の根っこをつかむ」である。
掘り下げるのは、大きな世の中の流れをつかむことであるからだ。
A事象、B事象、C、D…
さまざまな業種業態を超え規模を問わず各社が与えているお客さまや世の中へのインパクトや普遍的に支持されている理由は何か。
ここを一言で表せるまで掘れれば共通したキーワードが見えてくる。

 変わるのはイメージありき。
イメージを湧き上がらせるには好事例のインプット情報が欠かせない。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 012」2016.9.9】