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COLUMN

いい会社づくり通信

福山観光旅行の挑戦がはじまった ⑵

2022.04.19岡村 衡一郎

 福山観光旅行主催の地元企業イノベーション視察ツアーの振り返りを行なった。
その場で後継者の漆川さんは、このツアーを地元の小中学生に体感いただくことを思いついた。
学校へのアプローチは今からになるが、福山観光旅行の商品・サービスは、次の 3 方向からの欲求を満たしていくものに発展しうる。
地元の人を送り出す、地元に人を呼び込む、地元の人が地元を知る。

 一つの事をやってみた後のヒラメキの重要性は、先が見えにくい時代だからこそ大切になるのは確認するまでもないかもしれない。
しかし一アイテムのささやかな成功から、そのエッセンスを取り出し応用展開で次のサービスにつなげられている企業は、無印良品のような一部の企業に限られているのではないだろうか。
だからこそ、福山観光旅行を本号で再度取り上げている。

 話は横にそれるが、無印良品の出発点は、割れシイタケだ。
「わけあって安い」の西友のプライベートブランドとして立ち上がったものが、シンプルでお値打ちである良品として、衣食住のあらゆる商品に展開されている。
購入に影響を与えるのはブランド名や会社名ではなく、価値/価格に妥当性やお値打ち感覚。
この発見を全方位で展開しているのが無印で良品の無印良品である。
割れシイタケからはじまり家も、同じコンセプト。
受け入れられた中心を展開して商品にしている。

 観光本来の意味、地域にあるものの見方を変え、光をあて直すことで豊かな生活につなぐ。
他県の経営者やビジネスリーダーを呼び込むために企画したツアーは、地元の人が地元の良さ知り、豊かな生活を送ることに転用しうる。
地元企業のイノベーションに取り組む姿勢を知ることは、特に小学生や中学生にとって有益なものとなる。
応用展開へのヒラメキを後継者の漆川さんは得ることができた。

 さっそく学校向けの社会科見学の企画書をつくった。
訪問先はイノベーションツアーで予定されている企業リストからである。
他県の経営者には、それら企業のイノベーションに光をあてる。
小中学校生向けには、仕事観や地元の観方に光と当てた。
イノベーションツアーは、光のあて方を変えれば、社会科見学とある。
主旨は、地元の大人のかっこいい姿、仕事に真摯に取り組む姿勢を体感してもらうことが、将来の仕事の選択や、仕事観の形成に有益なものになる。
加えて、福山の産業の歴史を引き継いで発展させてくれる人材育成に必ずつながるというものだ。

 地元の小学生だけでも、結構な人数がいる。
他県に社会科見学のツアーは県外が多いが、その 10%でも20%でも、福山の企業に振り向けることができれば、事業として成り立つし、地域で働いている人にも、地域にすむ小学生にとっても有責なものになるだろう。
意外と地元企業が、世界ブランドと商売をできていることも、特定領域でオンリー№ 1 の実力をもって日本中に顧客がいることも地元の人には十分に伝わっていないものだ。

 県内の人を県外へという第一の領域。
県外の人を県内にという第二の領域。
地元のものと地元の人へという第三の領域。
三つの領域で貢献しうる福山観光旅行へ。
変革の取り組みが広がっていく。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 255」2022.2.11】