業績アップコンサルタントが脱皮した6カ条
2021.12.13岡村 衡一郎
知人の経営コンサルタントの葛藤についてふれてみたいと思う。
なぜなら上司もコンサルタントもメンバーの成長を支援するという文脈において、業績向上策を練っていく部分において、大きく重なるところがあると考えるからだ。
コンサルタントの肩を多少も持つならば、限られた時間で、瞬間的な関わりの中で、業績向上と人的成長の双方が求められる分、難しいと言えるだろうか。
知人のコンサルタントは腕がいい。
支援先の売上アップのポイントを押さえて、客数をアップさせていく。
クライアントが作るよりも上手に販売促進ツールを完成させ、業績向上につないでいく。
しかしその反面、売上アップの代行業的になってしまってしまう側面もあった。
売上アップを仕掛け続けられる人材育成、ここに十分に手が回っていなかった部分がある。
業績アップがなければ、経営者からは喜ばれない。
だから業績向上策を示さねば仕事にならない。
しかし示してしまえば一緒に動いてくれる社員の考えるスペースを奪ってしまう。
そして何より業績向上し続けるには、メンバーの人的成長は欠かせない。
でも難しいのは社員のペースを尊重して経営者が望む結果を得ることだ。
経営者に業績アップを、社員にやりがいを、これらの双方を同時に実現できない期間が続く。
売上アップと人材育成は、コンサルタントも上司も直面する課題だ。
だが双方とも、はじめから上手にできる人は少ないだろう。
売上アップが得意な人は自ら動き、やり方をうまく伝授できないまま。
結果として部下を置いていってしまいがちになるだろう。
人材育成に興味がある人は、じっくりと構えていくから短期的な数値確保が後回しになりやすい。
かつて業績アップ一辺倒で悩んでいた知人のコンサルタントは、支援の方法に工夫を凝らし、試行錯誤の上に、現在、業績アップと人材育成をハイブリットがこなせる凄腕になっていた。
3年ぶりにお会いできたお礼をかねて、業績向上と人の成長の同時実現コンサルタントとして、何を変えたのが、何をできるようになったのかを、一緒にまとめることにした。
1. 業績アップの筋は当然おさえる。
2. その上で関わっているメンバーに必ず意見を求める。出ない場合はじっくりと待つ。
3. 自分と反対にある意見ほどていねいに扱い、新たな方策にならないかと考える。
4. メンバーから出てきた意見は、うのみにせず、一緒に成功確率が上がっていくように吟味する。
5. 実行を見守りながら必要な時には介入する。
6. 結果をともに振り返り、次の対策をまとめる。
どうだろうか。
これらのポイントは、マネジャーの方々に有効ではないだろうか。
より大きなより持続的な成果につなげていく上で欠かせない六つのポイントと置き換えることができるだろう。
知人のコンサルタントは、自分が想定した以上の成果がでることに仕事の面白味を発見できている。
それもそのはずだ。
6カ条は最適解を考えるプロセスへの参画につながる。
自分の意見に固執すればメンバーは策を実行に移す手足になっていく。
自分の頭脳とメンバーの頭脳が掛け算になる仕事、そのためのヒントになれば彼も私もうれしい。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 233」2021.8.27】