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COLUMN

いい会社づくり通信

購入単位商品(単品)を考え抜く

2021.11.24岡村 衡一郎

 都内のホテルが日本の高度医療をホテルに宿泊しながら、宿泊することで受けられる商品を販売したと朝日新聞の経済欄にあった。
諸外国からの来日に焦点をあてた商品は、300 室弱の部屋を販売していく上での高単価商品としての位置づけであるようだ。

 誰のどんな利用にとって最適なのか。
ホテルの部屋の売り方は、なんとなくの高級感や安さといった価格帯別の販売はとうに終わっている。
カップルにとっての楽しみ、ビジネスマンにとってのやすらぎ、家族でのひとときをのんびりできるしつらえ。
いま必要なのは、客層別グレード別に分けての戦略性だ。

 同じようなくくりにある商品でも、客層別に売り分けていく。
これはホテル業に限った事ではない。
全業種に求められるものである。
だが案外できている会社も少ない。
下記の図解は、八百屋さんの「りんご」の売り分け方の深化のプロセスを示している。

MD深化・進化の五段階

98 円、200 円、500 円。
グレード別に品ぞろえをしているところはあまり多くはない、加えて、98 円はジュース用に、200 円は甘さを訴え、500 円は入院中のおじいさんおばあさんに食べさせた
いリンゴです、と客層を明確に示している。
客層別グレード別に売り分けているのは、地域一番店の八百屋さんの事例である。

 品ぞろえは、漠然と品物をそろえるという意味ではない。
品ぞろえとは、お客さまの欲求の受け方が本来的な意味となる。
地域一番店の八百屋さんは、お客さまのりんごに対する欲求を見極めて、POP の限られたスペースで表現しているのだ。
98 円は近隣スーパーの競合対策上おいているリンゴだが、ジュース用という表現にプライドを感じる。

 話をホテルの部屋に戻していこう。
自社の部屋にいくつかのグレードがあると思う。
その部屋は、誰のどんな利用に適しているだろうか。
お客さまのどんな欲求が受けられるものに仕立てていけるだろうか。
もちろん、同じグレードに複数の客層の利用も考えられるだろう。

 ベストマッチだと考えられる客層に対して、何を加えていくことがいるのか。
シングル。ダブル、トリプル、といった人数のその先に、スイート、パーティールームという広さのその先に、イメージできるお客さまはどんな人たちだろうか。
その人にとっての最適を考えると、どんな工夫ができるだろうか。

 あらゆる客層を受け入れる懐の深さを、品ぞろえとして示してほしい。
りんごの品ぞろえが上手な八百屋さんも、りんごとお客さまの関係を突き詰めていくことで、地域で一番、お客さまの欲求を受け入れているから一番なのであ
る。
安いのを買うのはうちの客じゃないとか、高級専門店とか、自分たちの好みよりも、相手の欲求に素直に合わせていけるのである。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 225」2021.6.18】