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COLUMN

いい会社づくり通信

旅館・菊乃家には感動が成果指標のサービスがある ⑷

2021.11.12岡村 衡一郎

 今回を含めて 4 回に渡って旅館・菊乃家の取り組みを紹介している。
松本支配人のメールには「関わる人をハッピーに」。
菊乃家がめざしてきたものがコロナ渦でも具現化できる様子がみてとれる。
今回はその締めくくりである。
まずは二人のスタッフの感想からはいっていく。

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スタッフの声
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 昨日現場にもいた私もびっくりしました。
帰りの電車で春田部長に聞きました。
「最後の最後で、今まで全部の気持ちが込み上げてきて、思わず泣いてしまった」って。
2 人と半年ぐらい前出会って、専務とずっと頑張って、なんとか 2 人の願望を叶えたい。
だから、みんなの涙は、かけがえのない思い出となるでしょう。
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スタッフの声
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 何と素敵なお話しでしょうか。
こんな婚礼を沢山させて頂き、みんなでハッピーになって行きましょうね。

 「関わる人をハッピーに」を実現できた瞬間をみんなで味わえているのが、すばらしい組織である証である。
二人の感想は、仲間の仕事に対するエールであり、誇りであるように受け取れる。
現場にいた私もびっくりした。
こんな婚礼をさせていただいた、という言葉に、サービスに臨めるチームの雰囲気の良さが伝わってこないだろうか。

 思い起こせば 3 年前、菊乃家さんも他の旅館やホテルと同様に、接客と調理の部門の壁。
役割の範囲内に自分の仕事を限定的に捉えている人も少なくはなかった。

 松本支配人と菊川社長は、まずは情報の共有の仕方を変えるところからはじめた。
聞いている、聞いていない、といった揉め事は、徐々になくなっていった。
けれど目指すものがなければ、真の意味で協働はない。
情報共有は不具合対策には効いた。

「ようこそ宮島の我が家へ」。
創業原点をつらぬくことを松本支配人は決めた。
志は大きくともアクションは足元からだ。
宿泊客全員のお名前を全員が呼べるように。
サービス改革の第一章はここから始まっていった。

「宮島を盛り上げられる存在へ」。
改革の第二章は、地域の活性化に貢献できる菊乃家になることを目標に掲げた。
お客さまの名前を呼ぶことで、お客さまの真の欲求を感じられるようになれたメンバーは、観光業の本質がつかめるようになってきていた。
夜に楽しめるものがすくなければつくればいいと、ナイトツアーをはじめる。
見どころがたくさんがあるが伝わっていないという問題には、自分たちでガイドブックをつくって紹介していった。

 楽天アワードなどの連続受賞もできて自信がついてきたところにコロナで客足が遠のいていく。
しかし、多くの変化を起こしてきたメンバーたちは頼もしい。
おもてなし文化を生かして、家族の記念日を演出する。
ここに自分達の活路、存在する意義を見出していこうと今もがいている。

 今回の婚礼は、サービス革新に取り組んできた菊乃家の新しい存在意義実現の突破口になるだろう。
ダイレクトに受注できる商品・サービスをもつ会社は、業種業界に関係なく強くなっていくものだから。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 220」2021.5.7.14】