今・ここを未来につなぐ実践報告
2021.04.20岡村 衡一郎
ある経営者の方から次のようなメールをいただきました。
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苦境は人を頼もしくしてくれる、と二人を見て感じます。
営業活動が思うようにできない中、建築現場の半分が止まっている中できることはある、と考えて動いているAさんの姿勢に感動しました。
工場のリーダーのBさんは、営業活動の売りになるモノづくりに向かって大きく、つくり方を変えようとしてくれている。
昔から言ってきた、一番に声がかかる存在になる。
6カ月先のお客さまの状況に最適値で頼られる存在にむけて 今、動きはじめています。
(A社・経営者 S)
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Sさんは、後回しになっていた重要課題、以前から社員に伝えていたのだが、十分に着手されていなかった課題を動かせている実感を持てているようだ。
メールにある二人とは、現場のリーダーで、一人は営業、一人は工場の責任者です。
その二人の取り組みが変わっていっているという心強さを感じている。
二人のリーダーは、仕事の目標を大きくシフトさせています。
営業の今までは売り上げも目標に焦点があたっていたものを、お客さまからの存在感の近さという視点を加えて、アプローチ方法を変えています。
生産の今までは、品質重視のものづくりは維持した上で「何で」選ばれていくのか、営業活動の「売り」を定めるためにターゲットを決めて、展開をはじめている。
以前のような状況に戻るのか、戻らないのか。
戻るという判断なら営業は数値を追い、工場は品質を追うことで、良かったのかもしれない。
しかし、戻るのではなく、新しい世界になると判断していくなら、言うまでもなく新しいことを加えていく必要があります。
新しい世界とそれに向かう新しい取り組みというと、ものすごく難しいことを言っているように聞こえるかもしれません。
でも、どうでしょうか。
これまでしてきた会話の中に、次に向かうためのヒントがないでしょうか。
A社では、事業の上流化を図っていくための取り組みです。
今、中間から下流の位置で甘んじていた状況を変えていく、事業の主体性が発揮できる領域の拡大のための取り組みを開始しました。
A社の上流へのシフトは、可能性は非常に低いですが、正しい答えではないかもしれません。
もし、仮にそうであったとしても、仕事に新しいことを加えていく実践が当たり前になりつつある彼らは、別の選択肢を見つけることができるでしょう。
以前の状況に戻るのか。
戻らないで新しい世界になるのか。
今、ここの取り組みは、後者を想定したもの。
戻れば、取り組みをしていた分いいでしょうし、新しい世界になったときには当然、今、ここの実践が効いてきます。
今まで話してきたことの中に、未来を開くヒントがありませんか。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 177」2020.5.29】