今やってほしい20のこと+1(プラスワン)
2021.03.23岡村 衡一郎
前号では今でもできる、今だからこそやっておくべきことを箇条書きで20のことを紹介させていただきました。
どれもが、お客さまから選んでもらう会社になるための打ち手であります。
私の関係先で、ここ1カ月(2020年3月17日時点)の昨年対比の売り上げは、A社100%、B社85%、C社70%、D社15%。
外部環境に何が起こっても下がらないA社と、外部環境と連動していってしまうD社では6倍以上の開きがでています。
A社はベーカリー店です。
都心に位置しながら、立地に頼らず自分たちで商圏を開拓してきた長年の取り組みがあるからこそ、今日の段階で昨年対比を割ることはありません。
B社は介護ビジネスで一部のお客さまが外部の入出を止めている分下がっています。
C社は飲食店です。
常連さんに支えられて70%は維持され、たまに来てくれていた若いお客さまが、この期間にあまり来なくなりました。
D社はお土産物屋さんです。
この業績の推移からでも、相手にとって必需的な存在になっておく重要性が分かっていただけると思います。
相手にとって必需的存在に位置していくためにA社では、2万枚のビラをつくり、近隣のオフィス、住宅、商店を回っていきます。
回りながら気づいたオフィスのミニパーティー需要を受けるべく、ケータリング商品を開発して、入社シーズンや年末などに、客単価数万円の商品を受注しています。
オフィスでのパーティーが増えている。
この背景には、飲み会に誘っても喜ばないメンバーが増えてきたことやお酒を飲まない人が増えている中で、全体会議後のささやかな懇親の場を催していきたい、かつ参加者が喜ぶおいしいものでという主催者側のニーズを即とらえました。
近隣のスーパーの揚げ物中心の仕出しでは、場が華やがないのです。
ここまで読んでいただいて、それをするのは当たり前ではないかと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
そうかもしれません。
しかし実際に足元需要を掘り起こすべく外を回る行為をしている会社がどれだけあるでしょうか。
そして、出先、営業先で気づいたことから商品開発につなげる、回りながら市場調査をやっている会社も少ないと思います。
A社の取り組みは外部を回ることだけではとどまりません。
ある日コンビニエンスストアで買ってきたおにぎりを片手にパンを買いに来てくれるお客さまが、ある一定量いることに気づきます。
ならば、おにぎりをと米をしっかりと研究して、冷めてもおいしいおにぎりを開発し販売します。
続いて、おいしいごはんができたならカレーを、そして、おいしいカレーができたなら、カレーパンのリニューアルを、と次々と手を打っていきます。
もちろん、主力中の主力「あんぱん」の力の入れ具合はほかの商品を開発しても変わりません。
ベーカリーA社の取り組みからの学びは、お客を見て地域を見て自分たちができることにはとことんトライをしていくことの大切さです。
一部の旅館やホテルが始めている近隣、近郊のお客さまへのキャンペーン。
これはキャンペーンの範囲にとどめないでほしいと私は思っています。
地域の人にとっての必需的存在、これは業種を超えた真理であるからです。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 173」2020.4.17】