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COLUMN

いい会社づくり通信

本物のミニ縁日・旅館・菊乃家

2020.12.14岡村 衡一郎

 ここに、旅館・菊乃家が夏休み中、毎日開催していた縁日で使われていた手作りのパチンコがある。
縦180㎝横 90㎝のパチンコは、5球・150点以上で豪華景品と引き換えられる、縁日の目玉だ。

 このパチンコは、手作りである。
それも、社員のお父さんがボランティアで作ってくれたものだというのだから驚きだ。
社員のお父さんの力も引き出すだけの、仕事の面白さが菊乃家にはあるということだろう。
仮に自分の息子が、仕事の話をしていなかったとしたら、つまらなそうに話していたとしていたら、社員のお父さんの力は引き出せていないのだから。

 お父さんの作ってくれたパチンコに、触発されてできてきたのが、パターゴルフだ。
こちらは、施設担当の社員が、自分も作ろうと仕上げたものだ。

 パチンコ、パターのほかにも、射的や花火などの、手作りイベントが菊乃家夏の新名物である。
もちろん宿泊客以外にも、宮島を訪れる人ならだれでも参加できるようになっている。
夏休み期間中は、決して広いとは言えないフロントに、夜7時に、これらの遊び道具を持ち込んで、そして片して、を繰り返し行なってきた。

 夏休み期間中、毎日やるのも大変だろうが、やっている本人たちは、自分たちの発案ではじめたものだから熱がこもる。
宿泊者のアンケートには、縁日に対するお礼の言葉が並んでいた。
その中の一文に次のようなものがある。
小学生が、お礼の言葉をアンケートに書き残していったものだ。
「えんにちで、ゲームたのしかったです。いっしょにあそんでくれたやさしいおにいさんありがとう。またきたいです」。

 菊乃家で行なう縁日は、出し物も本気であるが、本気でゲームを一緒に遊んでくれる人がいるということだ。
花火を渡すだけ、射的のコーナーがあるだけではない。

 前号(160回)で触れた菊乃家のオフサイトミーティングは、自分たちの手で自分たちのサービスを確信していく原動力になっている。
部屋の保全をする担当だった人は、安全を守るだけではなく、お客さまが感動するサービスを作り出したのだ。
そして、仲間が作ってきた縁日ゲームだからこそ、一緒に遊んで、楽しみを倍増させようとするスタッフが出てくるのである。

 菊乃家のサービス革新の連鎖は、どんな立場も年齢も経験も関係なくフラットに知恵を出し合う、貸しあう、オフサイトミーティングによって続いていくのである。

 次号は、宮島を盛り上げる存在として、自分たちに何ができるのかを話し合って生まれた、オリジナルガイドについて触れたい。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 161」2020.1.24】