イノベーティブな風土会社は問題に振り回されない
2020.11.18岡村 衡一郎
目の前に立ち上がってくる問題がない会社はないだろう。
イノベーティブであり続けられるか、安定運行を好む企業になっていくのかの分かれ目に、問題への向き合い方の違いがある。
前者の企業は問題点を列挙するが、問題点そのものに対処はしない。
後者の会社は、問題があれば、それをなくしていこうと現象そのものに対処していくのである。
問題点へ対処することは分かりやすい。
誰からの反対も起こりにくいから何かを変えていくよりも直していくことのほうが賛同を得やすいものになる。
例えば、営業数値目標と実績のギャップ、それを埋めようと行動を取ろうとする人を止める人はいない。
しかし、営業目標に届かない真の要因は見直されることはなく、その目標の正しさを問い直すなどのアクションは、伴わないままの行動は繰り返されていくだろう。
イノベーティブな企業は、問題をみるが問題点に振り回されない。
自分たちが設定した、と外側に対する目標を絶えず優先していく習慣があるからだ。
さきほど触れた営業目標は自分たちの内側にある目標。
内側とは、それが達成されたことで、自分たちの価値を受け取るお客さまが喜ぶ指標ではないことを意味する。
誰が、あの会社が1000憶円を突破したからって、うれしいとなるのだろうか。
問題点に振り回されず、本質的な外側にある目標に向かっていくために、ある変化が得意な会社は、次の視点で若手社員のトレーニングをしていく。
自分の考えを表すのに一枚の紙に六つの視点で整理していくのだ。
1.背景。
2.問題の列挙。
3.目標設定。
4.要因分析。
5.対策。
6.効果測定と横展開。
若手社員は、これらの視点をもとに、変化を味方につける仕事の習慣を身につけていく。
「これならうちでもやっている」と思われた方もいるかもしれないが、配置に注目しながら次の三つのポイントを読んでほしい。
1.の背景は、私たちを取り巻く環境や自分たちが目指しているものの確認である。
2.の問題の列挙は、1.を目指していくにあたっての問題を書きだすのだ。
1.の背景なしに問題の列挙になっていないか、というのが一つ目のポイントとなる。
二つ目のポイントは、2.の問題の列挙から5.対策に飛ばない点である。
現象的な問題を確認しながらも、1.の背景からブレイクダウンされる3.の目標を設定するのだ。
1.から3.の流れは、真に解決すべき問題点をクリアにさせていくための仕掛けなのだ。
三つの目のポイントは、4.の要因分析は問題をつぶすためではなく、3.に近づけていくために、おさえるべき項目になっているのに特徴がみられる。
そして三つのポイントを受けてはじめて5.の対策に入り、対策の持続の担保するための効果測定と横展開がある。
現象的な問題に必要以上に振り回されていては、変化≒新しいことに取り組みアクションは加えにくい。
イノベーティブな文化を持つ企業は、つぶすべき問題を慎重に選んで、選んで、未来の姿との連関を意識しながら対策を立てていく。
加えて、有効な対策だったかどうかは横展開ができる、すなわち汎用性があったかどうかを判断基準にするのである。
一人の変化創造をみんなのものにする文化がある。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 157」2019.12.6】