一人一人のサービスを会社として打ち出す
2020.03.30岡村 衡一郎
イーノ㈱には50種類のパンフレットがある。
表紙は一緒だが、中身は50人、50通り。
一人一人が、サービスにどんな思いを持って臨んでいるのか、お客さまと築き上げていきたい関係など、それぞれ自由にうたっている。
会社のパンフレットがそれぞれ違うのは、おかしいというのが常識的な考え方かもしれない。
ブランドコードがどうのこうの、販促部の責任で媒体は作成するべきだ、などの意見が、大勢を占めているからである。
しかし、人を介して物をやりとりするサービス業の場合は、このままでいいだろうか。
イーノ㈱では、何を購入するのかと同様に、誰から購入するのかを大切な提供価値だと考えている。
商品説明も、お客さま一人一人によって異なっていていいし、販売する人の個性が反映するから、感動につながる。
個性とサービスをつなげることに価値を置くスタンスだから、それを応援する、届ける、媒介としてのパンフレットは、全社共通のものではない。
ブランドは、お客さまに相対する瞬間に宿る。
その瞬間を、より輝かせるためのしかけを考えれば、50人、50通りのパンフレットができあがる。
誰かがコントロールして、画一的に表現コード守ろうと考えれば、1社1種のパンフレットになるだろう。
こういったことを伝えていくと、会社としてはダメで、個人が大切という主張をしているように感じられる方もいるだろう。
会社が立てば個人が立たない、個人が立てば会社が立たない、会社ブランドvs個人ブランドととらえているわけではないのだ。
双方ともに、引き立たせていくのが、重要なのだ。
イーノ㈱は、ここに、こだわっています。
そして、〇〇さんが属している会社です。
〇〇さんは、こんな思いを持って仕事をしています。
そして、〇〇さんが属している会社は、イーノ㈱です。
双方を最大化させてくれる会社の良さが伝わるだろうか。
担当者の数だけ違いのあるパンフレットは、サービスそのものをブランドにしようとする、会社の意図と、そこに集う人の思いが表れている。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 126」2019.3.22】