結果目標の設定はNG。だから結果がでる。
2020.03.03岡村 衡一郎
変化成長の止まらない沖縄教育出版グループの目標設定はユニークなものだ。
特徴は、設定の原則にある。
ほとんどの企業で目標としている売り上げや生産性は目標にはならない。
理由は行動の結果得られるものだからだという。
代わりに重視しているのは行動の目標である。
自分のコントロールで、できることを目標に置くから、相手は関係ないしラッキーパンチもない。
達成したら、その源泉を探り再現性が高められるし、達成できない場合でも、未達からの学びが多く得られる。
この話を聞いてから、売り上げ目標は達成しても成長が少ない会社は、結構な割合で存在するのかもしれないと、私は考えるようになった。
社員一人当たりの生産性は変わらないで、売り上げが伸びている場合は、そのような状態の典型例と言える。
例えば、社員一人当たりの粗利が1500万円で社員数が100人、トータル15億円の粗利額の企業があったとして、5年で粗利を30億円に伸ばして、社員数は200人などだ。
この場合は、一人当たりの粗利が変わっていないから、一人一人の成長は少ないと考えていい。
粗利額は、知恵の結晶。
やり方、在り方の成長がない故に成長よりも膨張していると言える。
目標を何のために設定するのか。
この問いに、多くの企業では管理項目としての必要性からと答える。
さぼるのを防止するためとも言うかもしれない。
たしかに、それはそれで必要な局面があるだろう。
沖縄教育出版グループでは、成長促進、変化するための行動に仮説をもって取り組むためと答える。
昨年対比で結果としての売り上げを下げようと思っている人はいない。
下がってしまうのは、行動がマンネリ化して同じことの繰り返しになってしまうからだ。
誰でも、一人で考えていれば、マンネリ化して当然だ。
沖縄教育出版グループでは、そんな人の弱さも分かっているから、一人一人行動目標をオープンにして、アドバイスをし合うこと、進捗について報告し合うこと、やって分かったことを話し合うことを習慣にしている。
売り上げ目標と現状のギャップを報告させ、対策を言わせるような営業会議はやらない。
自社の目標設定。
目標の中身は今どうなっているだろうか。
売り上げ目標などの結果系が設定されているのはノーマルタイプである。
一段あがって、途中のKPI(重要業績評価指標)などの中間系の目標があるのが、ベターな形だろう。
さらにその上が、 沖縄教育出版グループの目標設定だ。
繰り返しになるが、その目標はオープンで、互いの成長にかかわるための媒介にもなっているのが、さらにすごい。
KPIなどのプロセス目標の設定にシフトしている企業も多いと思う。
設定の発想自体は、結果系目標を運用していたころと比較して発展的になっているだろうか。
管理の発想でプロセス管理を行なっても結果はさほど変わらない。
目標の設定を、一人一人の成長のトリガーとなる運用が習慣になっている沖縄教育出版グ ループも、最初は違った。
結果系目標の設定を重視することからはじめ、プロセス系の目標に移り、現在、変化成長を促進するための仕事の道具に高めてきた。
何のために目標設定するのか。
ここを真剣に考え、目標を成長促進の道具に変えたのだ。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 122」2019.2.22】