「顧客や社会によりよい変化をもたらす」ミッションを求心力に
2020.02.25岡村 衡一郎
会社と社員、メンバー同士の関係が前を向いた掛け算のチームになるためのカギは「自社の商品・サービスを通じて顧客や社会をよりよいものに変化させる」というミッションへの焦点化に あると考えています。
というのも、商品・サービスは、お客さまの仕事や生活が向上するという“その先の姿”を実現するインターフェースだからです。
そこにメンバーの関心が集中し、たとえば「世界一レベルで実現する」といった飛躍を生み出す基準をもって、その先のよりよい変化をめざしていければ、その取り組みを起点とした多くのコト、 周辺のシステムにも変化が起こりやすくなります。
顧客の欲求に、自分たちならではの商品で応えている。
そのたしかな手ごたえや自信、誇りのようなものは、会社の雰囲気や互いの関係性も変えていく原動力になるのです。
お客さまに関心を持ち、お客さまになりきって考える仕事には現実感や具体性が生まれ、課題が明確に見えてきます。
お客さまとの関係の変化が実感されず、組織や現場が数字や理屈でお客さまを捉えるようになると、変化の必要性や当事者意識も薄れます。
結果、独りよがりの仕事になり、仕事の意味を見失うと、自社の商品に自信や誇りが持てなくなるのです。
商品・サービスの“その先”を模索し、新しい価値を探って試行錯誤を重ねるプロセスの中では、自社のさまざまな資源やそれを生かす社員の思考・行動が耕され、時代や市場にマッチした会社としての自信や誇りが育っていきます。
自分たちの足下に眠る財産を掘り起こし、今日の課題意識で見直して新たな価値を創造する、そのプロセスを通じて実行の主体者や大きなチームワークを育てていく改革。
そこで成長した リーダーたちの「変える力」が衰えることはありません。
会社の低迷を打破するための商品・サービス開発やイノベーションの取り組みとなると、まったく新しいものを外部から持ち込んだり、一から作り出そうとする発想になりがちです。
そういう意味では、自社の強みほど、いい加減に扱われているものもない、と言えるかもしれません。
これがあるから選ばれる、圧倒的な差別化要素になっている、自社の営業に優位性をもたらしている、そんな市場から見た目印になるものが「強み」です。
会社の強みとは、お客さまに選ばれている理由の源泉になるものです。
具体的には、商品・サービスを生み出す過程で身につけてきた広い意味での技能(メソッド、経験、仕事の進め方、品質・スピード・創意工夫・誠実さなどに関わる職場文化)、無形の知的資産です。
これらは、属人的でその人が去ったら終わりというものではなく、無自覚的であったとしても、新たな何かを再現するベースになっているものです。
内部にあって単純に“古いもの=役割を終焉したもの”として片付けてしまっているものを、深掘りし、今日の課題認識で再び光を当て直すと、新しい意味を持って再価値化できるケースは少なくありません。
強みが詰まった商品・サービスの価値を研ぎ澄まし、品質と価格とのバランスを磨いていくことが、具体的な市場アプローチのアクションに置き換わるのです。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 121」2019.2.15】