先を生きる人からの学びを自分の実践に取り入れる
2019.09.18岡村 衡一郎
私は、三人の先生を持つことをおすすめしている。
というのは仕事において、自分のモデルになるような先生の存在があれば、自己流でやっているときよりも、圧倒的に成長スピードは速まっていくからだ。
できれば、身近にいる人だけでなく、世界一、世界初、日本一、日本初といった、その道のプロが、その道を切り開いていった人探してみるのがいいだろう。
中国のことわざに、「千日の勤学より一日の学匠」というものがある。
意味合いは、大学で千日勉強するよりも、優れた先生についての一日の学びに効果があるというものだ。
3年の独学に匹敵するだけの1日を提供してくる人を見つけられたなら、これほど成長を早めてくれることはない。
逆に、優れた先生は3年かけてでも探したほうがよいとも言っている。
先生に会える、会えないは、多少の運もあるだろう。
だが、図書館に行って調べる、書店で関連書を購入する、気に入った著者に往復手紙を出してみる、複数の知人に聞いて回る、セミナーに参加する、繁盛企業に行って現地で声をかけてみる、これらを入り口に動いていけば、先生に近い人は見つかるものだ。
もし、その人が候補に近いが、何か違うと感じるなら、その人にとっての先生は誰かと尋ねてみると、その道のプロは誰なのかが分かってくる。
その道のプロ、先生が見つかってから、何をどう学んでいくのかは、先生を見つけるのと同様に大切なことだ。
その人のミニコピーになるだけに終わってしまってはもったいない。
そして何より、超える対象としてのメルクマールに、先生という人物が対象にならなければ、その人を超えて、さらなる貢献につないでいく自分にはなれないだろう。
先を生きる人は、含んで超えていくための存在である。
その人を自分に引き寄せ、自分のものにして、乗り越えていくために。
先生を見る視点は三つある。
一つ目は、その人はどこから来たか。
二つ目は、その人は何をやっているのか。
三つめは、その人は、何を見ているのか。
決して、二つ目の何をやっているのかだけを、テクニカルに自分に取り入れてはならない。
理由は、その人のメソッドをベースに拡大再生産していく自分になれないからだ。
一つ目の、どこから来たかは、その人のベースメントをつかむための視点だ。
現在やっていること、相手に貢献できている出発点をつかんでから。
二つ目の、何をやっているのかを考えられれば、表面に見えるメソッドの源が分かる。
三つ目の、何を見ているのかをつかめれば、やっていることの深い意味が理解できていくようになるだろう。
自分にとっての先生は、何を、何に向かって、なぜやっているのか。
その道のプロの先生を複数、できれば三人以上見つけて、掘り下げていければ、自分が後輩にとって先生になれる日が早く訪れる。
学ぶ対象を広げて探して、学び方を、教えを請うだけでなく、超える対象として考えてみるのはどうだろう。
【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 102」2018.9.14】