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COLUMN

いい会社づくり通信

地域ブランドは愛でつくられる

2019.08.07岡村 衡一郎

 中学生、高校生の4人に1人が乗る自転車がある。
静岡 県静岡市のサイクルユートピアウミノのオリジナル自転車、ウミノ MAX、ウミノNEOだ。
静岡市では「ウミノ」が自転車のブラン ドである。
「マックに行こう」と同じくらい「ウミノで買おう」は定着しているというから驚きだ。
地域で3店舗を展開する店がブラ ンドになれる理由は自転車に対する愛だ。  

 ナショナルブランドをしのぐ人気の商品には、中高生の使用方法を熟知した上での工夫がある。
プラスチック製の買い物かごは 重たい荷物を入れ続ければもげてしまう。
ウミノMAXは、部活の道具を入れて3年間使っても壊れないステンレス製。
車軸も往復20㎞の使用に耐え、ずれてしまうことはない。
一番の敵であるパンクには、特殊なタイヤで立ち向かう。
そして、通学途中にパンクになれば軽自動車で迎えに行く。  

 ウミノでは、自転車を売るのではなく、自転車を安心して使用し続けていくことに責任を持っている。
遠方からウミノMAXの評判 を聞きつけて、買いに来られたお客さまには、まず、お客さまの近くの自転車屋さんからの購入をおすすめする。
それでもウミノが欲しいというお客さまには、日々のメンテを行なってくれる地場の自転車屋さん経由で、3年間の安心をつけて販売しているのだ。

店長の尾崎さんは9800円から150万円までの自転車すべて に愛を注いでいる。
趣味品には、自分がいることで、そのお客さまにとってのベストな自転車に、パーツを組みあげ仕上がる安心感を与えている。
入門の自転車には同価格では一番の質と言い切れる品ぞろえと言い切れるだけの準備をして、お客さまに接している。
高い安いに関係なく、尾崎店長の自転車そのものへの愛着は、お客さまの生活スタイルも変えていく。

自転車を安心して使い続けてもらえるように。ウミノの一貫した姿勢には、多くのファンがついている。
メンテナンスに定期的に 訪れるお客さまの数は業界平均の倍くらいだ。
自転車好きの店長に会いに来るのも、お客さまにとっての一つの楽しみになっているようだ。
ウミノMAXからはじまったお客さまは、ウミノNEO に乗り継ぎ、自転車が趣味になって数十万円のオリジナル自転車を購入する人も少なくない。
ウミノをパートナーに自転車がライフスタイルの一部になっていくのだ。

自転車を買うならウミノに行こう。
3年間の安心、ノートラブル の体験を支えてもらったお客さまは、次のように思う人が少なくない。
この先も自転車の楽しみを広げていくならウミノが欠かせない。
お客さまからパートナーだと思ってもらえるウミノブランドは、中学生、高校生が、どうやって自転車を使うのか。
自転車を通じて、何をしてあげるのがベストなのかを考え続けて開発したウミノMAX を起点につくってきた。

企業規模やテレビCMがブランドをつくるのではない。
ウミノの事例は、商品への愛の深さでつくられた自転車の使用価値は、もともとの認知度を超えていく。
使用状況をとことん考え抜いて 品質を高め、使用し続けてもらうためのバックアップ体制で臨む。
地域にとって欠かせない存在がサイクルユートピアウミノだ。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 097」2018.7.27】