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COLUMN

いい会社づくり通信

まずやってみよう(説得するのは後)

2018.11.12岡村 衡一郎

 本稿より次回までは、パークホテル東京小野支配人とチームで新しい価値を作り出すポイントについてお伝えする。

 小野さんとの対話を経て変化のポイントを次の三つにまとめた。

(1)「こっちへ行こう」を決める(コンセプト決定)。
(2)まずやってみよう(説得するのは後)。
(3)みんながうまく成り立つように(三方良し)。

 前回は、「こっちへ行こう」を決めるについて語ってもらった。
今回は、『日本の美意識が体感できる時空間』という行き先に向かい実践の壁をどう突破していったのかを語っていただく。

 上司の許可を得てから活動を始めたくなるのが一般的かもしれない。
しかし、新しいことへの判断は分からないから難しい。
かくありたいと説得するよりお金をかけずに形にする。
突破口は、このあたりにありそうだ。
では、小野さんに語っていただこう。

まずやってみよう(説得するのは後)

「日本の美意識が体感できる時空間」を行き先として決めた後、「日本の美意識」を表現するツールとして「アート」を選びました。
考え付くものを「まずやってみよう」というスタンスで行動を始めました。
やりやすいものからどんどんやってみる。
BESTを考えると小さくまとまってしまうため、GOOD なもの、面白そうなもの、ほかにないもの、これらを尺度に行動を決定していきました。

 金(予算)の掛かるものは、時間が掛かる、決定に慎重になる、広く説得を要する、正しいもの(確実なもの)しかできないから「まずやってみる」スタンスにはあいません。
展示や掲示物にアートを取り入れたホテルの空間づくり、世界的なアートイベントと契約をして VIP の宿泊、アートファン、コレクターを集めたパーティー。
すべてお金を掛けずにどうやるか、アイデアを絞りました。
例えばアートイベントとの提携では金を掛けず、私どもの商品である客室を無料提供することで実現しました。

 いろいろなことをたくさんやるには、時にコンセプトと完全に一致しないことも出てきます。
ただ最初の段階では、ある程度(言葉は悪いですが)「こじつけ」があっても構わないと思っています。
まずはコンセプトの解釈を広くして、取り組み内容に魅力を持たせ、その後に意味づけをしっかりしていけば、最終的に BESTなものができ上がると思っています。

 物事を進めるうえで、どうしても重要なことが、周りからの理解なのですが、「アート」でのおもてなしは、もともと前例のない話であり、言葉で説明しても説得は難しいと思いました。
だから「まずやってみる」。
みんなに理解してもらうのはその後でもいい、いつか外での評判が内部の理解を上げていくと思っておりました。
実際チームの私たち自身も正解が分からない中での模索だったため、そのような選択を取ったのです。

 以上二つ目のまずやってみよう&説得するのは後、である。
金を掛けないから知恵が出るし冒険できる。
これも真理だが、実際はどうだろう。
予算取りや上司の承認から入っていないだろうか。
次回は三つ目のポイント、みんながうまく成り立つように、について触れていく。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 061」2017.10.13】