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COLUMN

いい会社づくり通信

自社のポジションを知り、手を打つためにシェアを活用していこう

2018.10.15岡村 衡一郎

 売り上げや人的生産性、客室稼働率など経営の結果を見るための指標はいくつもある。
これらの指標は自分たちの取り組みの結果を見ていく上で重要なものであるのは言うまでもない。
しかし、取り組みの良しあしは他者との比較で相対的に決まるものだ。
自社の取り組みが、どの程度、お客さまに受け入れられ、他社はどうだったのか。
これらを客観的に測る指標にシェアがある。

 自社の商品を必要としている人が 100 人の中で何人の支持を得られたのか。
自社は何番目に支持されているのか。
自分たちの取り組み結果の質が、シェアに表れる。
70 人の支持なら独占的。
40 人なら圧倒的な一番、26 人で一番グループに入る。
商品や地域を限定して取り組んでいる中小企業なら 26%超えを目標に。
日本全国で商売を営む大企業なら40%超えが一番になる。

053図1

 図 1 にシェア名称と市場内での位置づけを示した。
シェア40%で日本のほとんど人が知っているのがトヨタ自動車。
より多くの人の自動車に対する欲求をつかんで、品そろえをしていった結果の一番である。
かつてのキリンビールは 70%のシェアがあった。7
0%を維持できる企業は、ほぼないと言っていい。
新たな欲求を受けるための取り組みが少なくライバルもいなくなりマンネリになっていく。
企業の内側が活性化しなくなっていくのがその要因だ。

 シェアを用いて自分たちの取り組みの結果を見続け、相対的な支持率を上げるための実践は、自分たちを新しく、強くする。
相対的なモノサシを持たずに経営していけば、自分たち本位になりやすい。
マーケットがダウントレンドになれば、シェアが低い企業が市場から退場をよぎなくされていく。
相対的なシェアの低さは、黄色信号であるのだ。

 今取り扱っている商品が 10 年後もなくならないという仮説が成り立つなら一番を目指そう。
呉服店が地域に一店舗は残って商売をしていることを見てもらえばイメージがつくだろう。
着物を必要とする人は減るが、なくなりはしないのだ。
かつてのブームであったころに 5 店から 10 店あったカラオケ店やスキー店も、地域で 1店から 3 店は必要とされている。

 自分たちの取り組みの質をシェアで見てきた企業は、マーケットの上がり下がりや流行に関係なく生き残れる。
今の自社のシェアは何パーセントで、自社の上に、自社の下に、どの企業がいてどんな取り組みをしているのか。
一つ上にいくために、不足していることは何なのか。
相対的につかもうとする取り組みが、お客さまにとって新たな一面を持つきかっけをくれ、マンネリという内なる敵と戦うことにつながる。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 057」2017.9.8】