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COLUMN

いい会社づくり通信

お客さまの目的を支えるサービス

2021.11.29岡村 衡一郎

 マッサージ業は、一言で言えば、コリを取るサービス業となるだろう。
疲労回復、体の機能維持、メンテナンスなど利用する人にとって、不具合を感じる部分が少しでも今よくなればいいとか、長期的にメンテナンスが必要だとか、マッサージに求める使用価値にも幅があるのが特徴の商品であると言えるだろう。

 また、人 = 商品ゆえに、施術をする人によって提供する価値に大きな幅がでるものマッサージの特徴だ。
コリのあるところをもみほぐすことに注力するサービス。
お客さまとの長期的な関わりを前提にコリの要因をさまざまな角度から取り除こうとアプローチする人。
マッサージの気持ちよさを売りに、香りや空間づくりに工夫を凝らす会社もある。

 マッサージ業の使命は何か。
成果は何か。
会社によって異なって当然だ。
A 社の使命は、痛みを取ることだけに限定していない。
ここに選ばれる強さがある。
お客さまに声高々に伝えている訳ではないが、お客さまは違いを感じ取っていくのだろう。
結果、生活のパートナーとして頼りになる存在として選ばれていくのだ。
その証拠に A 社の支持率は、地域で№ 1となった。

 A 社では、痛みの緩和は当然のこととして考える。
その上で、生まれてから今までの期間、これから先 10 年後どうなるのか、過去と今と未来の時間軸を要視してお客さまと関わっていく。
目の前にいる利用者さんの生立ちと今の症状。
今の症状が影響する生活動作。
この先の生活の中で痛みの要因を緩和していく方法。
これらを考慮に入れて、施術内容を決め施術に入る。
施術後の生活アドバイスにも力を入れる。

 A 社はマッサージを、施術中だけのサービスと限定的に考えていない。
100 歳健康寿命を手にするために存在していると定義している。
ゆえにコリの原因を時間軸の中でとらえる。
瞬間的なほぐしだけでなく、未来のさらなる健康体に向けてのアドバイスを相手が苦なくできるところで提案する。
例えば、意図的に上を向く時間をつくってください。
すう呼吸を意識してみてください。
その人にとって必要な生活に加える動作をアドバイスしていく。

 コリの要因を、今、この瞬間からとらえていては、緩和するという効果に留まってしまうだろう。
利用者さんの未来に責任を持つ。
A 社のサービスコードは、創業原点からきている。
創業者の祖母の身体の不調を、十分にはみてもらえなかったという悔しいおもい。
レントゲンや精密検査などでは見えにくい、地層のように積み重ねからなることが要因で起こるだろう不調へのアプローチ。
ここへの手薄さを感じたことが、マッサージ業を起こした原点にあるのだ。

 宿泊するという行為を支えるサービス業がホテルや旅館である。
A 社と同じように、泊まるための先にあるアクションに、旅に出る事で手にしていきたいものに、思いをはせながら取り組んでいるところもあると思う。
マッサージを受けることは手段であり、健康的な生活をおくるための支援がマッサージ。
宿泊することを手段に置いた場合、自社のサービスは、本来的にお客さまの何をどう支えるところに効いてくる必要があるだろうか。

 A 社のような時間軸でサービスをとらえる企業は少ないのではないだろうか。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 227」2021.7.2】