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COLUMN

いい会社づくり通信

アイデア! 続けたいという思いから

2021.08.02岡村 衡一郎

 現状突破のためにシフトしよう。
新しい何かが必要だ。
すべての商売が、今、この局面をむかえている。
ささやかかもしれないが、いろんなアイデアが話し合われていると思う。
だが、アイディアをつぶすのは簡単だ。
「それは儲かるのか」という問い一つで、消し去ってしまうことができる。
だから、出されたアイディアの多くはお蔵入りというケースは少なくないのではないだろうか。

 醤油の町、千葉県の銚子、銚子半島の先端に銚子電鉄という会社がある。
「ぬれ煎餅」の販売が有名で、ご存じの方も多いかもしれない。
電車屋さんが「ぬれ煎餅」。
面白い商品にも映りがちだが、背景には、6.7㎞の電車を走らせ続けていきたいという思いがある。
地元の一品であった煎餅屋さんからつくり方を教わり、自分たちで販売をはじめたのだ。

 存続をのかけた取り組みは、ほかにも多数ある。
経営がまずい棒(うまい棒)、経営がもっとまずい棒、駅ホーム名のライセンス、映画電車を止めるな。
私が一番の傑作だと思ったのは、音の販売である。
「売るものが無くなってきたので音を売ります」、このキャッチコピーが書かれたチラシを見ると、継続のために、協力したくなる気持ちがこみあげてくる。

 ぜひ現地に行って、その雰囲気を感じてほしいが、銚子電鉄 HP https://www.choshi-dentetsu.jp/ からでも取り組みの概要は分かるから、ぜひ見てほしい。
私が現地で感じたのは、安全第一を徹底的に守る以外は、自由に何でもトライしようという社風である。
大変なこと自体を受けいれて前をむいて経営に取り組む、スタッフの明るい対応が、そこにはあった。
誰もが電車を止めたくないのであろう。

 アイデアを実行に移していくための問いは一つだ。
「今あるものを新たな価値にできないだろうか」。
そして、アイデアから実行のポイントは二つ。
「まずやってみよう」の合言葉が一つ目、二つ目は、「ダメモト」で行こうという判断基準である。
ダメモトの意味は「だめでもともと」と誤解されていることが多い。
「だめだったら元に戻せばいい」が変化文脈での正しい使い方である。

 銚子電鉄の取り組みに現状突破のヒントはないだろうか。
電車屋さんは電車を動かすのがメインの仕事に変わりないが、電車の維持コストは、安全に徹底的に配慮した上でおさえ、ホーム、売店、観光施設との連動、運転手さんの眠りを科学する取り組み(詳しくは HP にあり)、今あるものの応用動作で価値に、商品に変えている。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 190」2020.9.11】