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COLUMN

いい会社づくり通信

対話的経営会議を支えるもの

2021.07.20岡村 衡一郎

 とある会社の経営チームは、いつも本気で本音の話し合いをしているからこそ強い。
コロナ禍で、状況が刻々と動いていく中で、真骨頂を発揮しているのが、A社の経営チームである。
話し合いに私も参加させていただいているが、経営チームのメンバーは、自分はどう思うのかを必ず話す。
そして、相手の意見を、自分がどうとらえているのかを、相手にちゃんと返しながら結論に至る。

 A社の経営チームの議論には、社長への忖度や、担当部署以外の話に無関心とした場面はほぼないと言っていいだろう。
社長は、自分の意見が、あまり吟味されないまま結論が出されそうになると、意図して反対意見を出すことを促す。
営業部長が 話している内容に、製造部長は、どう考えているのか、を必ず確認している。
これらの意見を吟味しながら進めているから、会議前と会議後で全員の認識が変わり、推進力が高まる。
A社の経営会議は対話なのだ。

 誰もが正しい答えを持ちにくいコロナ禍で、最多解を導くには、今まで分かっていることの中で答えを出さない工夫がいる。
しかし、多くの企業の会議では、今までの前提の中だけでの話し合いに終わっている。
担当領域以外に口をはさむこと、社長の意見と異なる意見を出すことを歓迎しない雰囲気があるからだろう。
話し合いは滞りなく流れていくが、会議前と会議後で今までと認識は変わらない。
対になる意見が発展的な解にたどり着くには必要なのだ。

 会話的会議から対話的会議へ。
この重要性に異を唱える人はすくないだろう。
侃侃諤諤の議論から生まれた施策の方が、強いことも、多くの人は一度や二度、経験している。
でも、なかなかできないのが対話とも言える。
経営会議ならなおさらのことだろう。
心理的な安全性が対話のベースという意見は多い。
それもそうだろう。
対話がなされるA社の経営会議は、何に支えられているのかをあるものとないものから見ていこう。

 まずは、A社の経営メンバーには、遠慮がない。
あるのは受け止めてくるという信頼だ。
A社の経営会議には、分厚い資料がない。
あるのは、ペライチのペーパーだけだ。
経営メンバーには部門最適思考はない。
あるのは、全員最適を追求する姿勢だ。
売り上げ確認の時間は最低限ある、お客さまの欲求を洞察する話し合いに時間の区切りはない。
あるお客さまからの要望が見えてきたら時間延長で仮案がでるまで話し合いを続けていく。

 A社にあるのは「お客さま以上にお客さまになりきる」というすべての仕事のグランドルール。
このルールは、経営メンバー同士が自らに課して運用している。
営業部長は製造部長になりきって、営業部長は製造部長になりきって、互いの課題に向き合っている。
社内も社外も、相手になりきって考えるという行為を経営メンバー同士が徹底しているのだ。
だからこそ、A社の経営会議には対話が生まれる。

 他部門の部長である相手になりきって考える行為は、反対の意見を提案に変える。
お客さまになりきって考える行為は最良の施策に導くためのガイドとして機能していく。
A社「お客さま以上にお客さまになりきる」というA社社長の経営方針の経営チームでの実践が、会議を対話の場にしているのだ。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 188」2020.8.28】