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COLUMN

いい会社づくり通信

いつも新しい自分たちでお客さまをお出迎えするには ④組織と戦略のリンケージ

2021.03.02岡村 衡一郎

 前々回と更にその前の回では戦略について、前回ではいつも新しい自分たちになるための組織について触れてきた。
今回は組織と戦略のリンケージについてさらに深層に触れていきたい。
一言で言えば、変化を歓迎するチームが組織だ。
そのために自ら変化を起こせていく人のつながりを維持発展する仕掛けが組織運営上になされている必要がある。

 今までも触れてきたパークホテル東京でも旅館・菊乃家でも、組織図に表されている役割や責任は、最低限、担っていく範囲という認識で事業が営まれている。
そもそも管理に向いている組織構造の中に、今までと同じ自分たちでいないための仕掛けをしている。
例えば、全員で目的を共有していく仕掛け、部門を超えて商品・サービスを新しくしていくための知恵の場、現場で感じた変化のシグナルを出し合い意味を考える時間などであった。

 使命を戦略的に実践していくためのチームになれているのが両社の特徴である。
大目標は、今までのやり方を繰り返していくだけでは当然達成できない。
イメージはできても、そこにたどり着く道のりがクリアではない状態だからこそ、一人でも多くの参画と知恵やアイデアがいる。
逆にすでに分かっていることをいち早く実行に移していくには、ピラミッド構造を、そのまま生かしていくことの方に合理性がある。

 自社で戦略と言われているものは、すでに分かっていることを効率的に実行に移していくための強化ポイントの羅列になっていないだろうか。
もしなっているとしたら試行錯誤やトライなどはない方がいいという暗黙の前提が成り立つから、現場スタッフは作業者の方がいいことになってしまう。
組織だけを取り出して活性化を促そうとしても、目指しているものの質が活性化しなければ到達できないものでないならば、実現する必然性がないから難しくなってしまう。
目指しているものと目指し方の二つのリンケージが必要なのだ。

 日本の美意識を体感できる時空間になることを目指すパークホテル東京、宮島を盛り上がる存在として目指している菊乃家、変化を味方にできる企業ほど、現場第一線で感じたことを次の変化に生かしていくための原石として大切にしていると同様に、 戦略と組織のリンケージも取れている。
誰にも正解が分からないテーマに向き合う。
だからこそ、一人一人が仕事に立場や肩書を超えて真摯に向き合う組織ができあがるのだ。

 これは業種を超えても同じことだ。
例えば、お客さまの支持率が高い音響メーカーでは、いい音とは何か、という対話には社歴や経験などの要素は一切持ち込まないという。
時代ごとに変わる、いい音に対するニーズの洞察には、社歴や経験などからくる「いい意見だろう」というバイアスがかえって邪魔になるからというのが理由だ。
だからこそ、少しずつ確実に音質を変化させていくことができる。

 もう一つ重要な側面がある。
変化を歓迎する組織は分業ではあるが、分業発想ではないことだ。
料飲のメンバーはイベントを考える。
フロントのメンバーが食事メニューのアイデアを出す。
音響 メーカーも同様に、与えられた役割の中に埋没しない動きが活発に行なわれる。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 170」2020.3.27】