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COLUMN

いい会社づくり通信

アイデアを生み出し続ける場の仕掛け

2020.09.14岡村 衡一郎

 前回と前々回の2回にわたって㈱セントラルユニが行なっている、イノベーションを促す仕掛け「マッシュアップスタジオ」について触れてきた。
前々回では顧客とともに最適な空間を考えるための「手術室シミュレーションルーム」。
ここでは等身大に映し出された3D画像をもとに「もっとこうしたらよくなるのでは」を引き出していく。

 新しい価値を生み出す対話は、映して話せば知恵が出るというほど簡単ではない。
「自らがイノベーターでなければ新しい知恵は引き出せない」と取り組んでいるのが前回で紹介した「アジト」である。
「アジト」では、自分たちの仕事そのものを創発中心としていくための仕掛けを多数行なっている。

「手術室シミュレーションルーム」×「アジト」。
現地現物に近いものを見ながら、創発対話を行なっているコーディネーターが、話し合いを進めているのだ。
これだけでも十分かもしれないが、マッシュアップスタジオには、まだまだ知恵を生み出す仕掛けがある。
今回では、その締めくくりとしてのアイデアが生まれるもう一つの仕掛けを紹介したい。
世界中の病院の取り組みが短時間で分かるバーチャルツアーだ。

 写真1(セントラルユニホームページより)にはバーチャルツアーで用いる大型画面があるのが分かると思う。
ツアーは、対話の前や中間に行なわれる。
具体的には、画面を通して、お客さまと世界中の病院をまわる。
そしてさまざまな取り組み事例を見て気づいたことを話し合っていく。
この気づきが創造的対話に効いてくるのだ。

 アイデアは何もないところからは生まれにくい。

 お客さまにとってツアーで見た病院がモデルになる場合もあれば、そうでないケースもあるだろう。
しかし短時間で多くのところと比べるという行為は、自分たちの当たり前に気づく上でも、未来の姿をイメージする上でも重要だ。

 新しいものを何も見ないで、調べないで話し合った場合と、新しいものに触れて話し合った場合の話し合いの質の違いを想像してもらいたい。
確認するまでもないかもしれないが、新しい何かに触れてからの対話の方がイノべーティブになる。

 しかし実際はどうだろうか。
今までの情報をもとに話し合いを繰り返していないだろうか。

 ㈱セントラルユニのマッシュアップスタジオで行なわれている創発的対話は、現地現物をもとに、イノベーティブなコーディネーターが、新しい情報を顧客と共有して行なっている。
アイデアが生まれる必要条件と十分条件を押さえているから創出の場として機能していくのだ。

 この逆、現地現物でない忖度された情報をもとに、議長を決めて、他社との比較なしの議論を進めていけば、変化を手にしにくいことになるのが分かるだろう。


<写真1>

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 148」2019.9.27】