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COLUMN

いい会社づくり通信

N倍チャレンジはアルミックの仕事の作法

2019.03.25岡村 衡一郎

 末武社長が経営を引き継いでからの 6 年間で、㈱アルミックの営業利益は5倍に伸びた。
大きな設備投資をしたわけでも、人を増やしたわけでも、当然リストラをしたからでもない。
先代のころから、頑張ってきた社員と商品と向き合い業績アップを実現したのだ。

 営業利益 5 倍は、営業部も、設計部も、管理部も一丸になって取り組んでいるからこそが達成できたのだが、マンネリ打破の突破口を最初に作ってくれたのが、すごい工場があるらしいと自らをアピールする生産部である。
彼らの取り組みに学ぼうと日本全国、中国やドイツなどから訪れる。

 工場の仕事の仕方には三つの特徴がある。
一つは今までの倍か半分をターゲットにする目標設定であり、二つは目標に近づけるためのテーマの見つけ方、ダメだと思い込んでいるものにトライする、である。
三つ目は、仕事は作業だけではなく、作業 + 改善 + 変化で成り立っているという共通認識のもとに、何かをよくする、または変えることが、日常の仕事にビルトインされていることだ。

 いずれの視点も変化を味方につける上で外せないものだ。
目高い目標を達成するには知恵が必要になるし、ダメだと思い込んでいるものに「本当にそうか」と問いを立てることでアイデアは生まれやすくなる。
アイデアを思いついた人が、すぐに手を動かしてみればアイデアは形になりやすい。

 工場からはじまった変革は、社長の自信にも、メンバーの指針にもなり、自立的チャレンジの連鎖を広げている。
会社に言われたからではなく、主体的に営業所を出すのを決めた複数の営業部のリーダー。
営業部から管理部に自ら配置転換を決めて全体最適をサポートするリーダー。
少しの時間をおいて、社長より年上のベテラン社員は今必要で最も難しい課題解決にリスクを取って乗り出してくれるようになった。

 N 倍チャレンジ、思い込みテーマ、まずやってみる、これら三カ条は、アルミックの仕事の作法として、工場、営業の各部署で実践され仕事のど真ん中に現状の延長線ではない飛躍をもたらしている。
末武悟氏が代表取締役に就任したのは 39 歳、
「自分がやるより、今の社長がやった方がいい会社になる。
社長を応援してほしい」と会長が全社員集会で伝えてくれたのは、社長が 44 歳を過ぎたころだった。
就任 5 年目の創業者からの太鼓判は、株の話や
手続きの話ではなく、本来の意味における事業継承ができた証しと言えるだろう。

 アルミックという会社は、極端に指示命令が少ない。
営業所の出店や配置展開なども主体的に決められる。
自立的な社員になってほしい。
絶えず相手本位に動く社長の改革は、一人一人の「こうしたい」と「この仕事に取り組む」を可能な限り一致させる。

 仕事をワクワクしたものにする。
末武悟氏が社長が就任時に定めたミッションは今現実になった。
繰り返しになるが営業所の開設は社員が決め会社がバックアップする。
工場の改革も、安本工場長の思いが先にある。
火種を見つけては、さらに燃えるようにアプローチをしてきた。
Nチャレンジは、社長敷いたボトムアップの運動的変革を高みに向かわせるための唯一のルールであった。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 079」2018.3.2】