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COLUMN

いい会社づくり通信

何で勝負するのか

2019.03.18岡村 衡一郎

「うちに強みなんかありませんよ、他社だってやっていることばかりで…」。
社員の集まりで自社の得手について論議を持ちかけると、意外なほどに強み無し説が浮上してくる。
問題点は山ほど挙がるが、勝てるポイントとなると先ほどの活発な議論がウソのように発言は減っていく。

「あそこが問題、ここがまずい」。
いらない点は誰にでも分かる。
クレームは非日常的であるから目立ちやすく、解決に動くのは当然だから動きもかみ合いやすい。
しかしクレーム対応は程度の差はあれ他社でもやっている。
より大切なのはダントルのポイントをつくるための協働にあるはずだ。

 強みは日常である。
日常であるがゆえに意識されることが少ない。
一人一人は頑張っているのによくならない。
努力の分散傾向のある企業ほど、「うちに強みなんかありませんよ…」という。
特定していないがゆえに、実践は短所の是正に、横並びの戦略に、偏ってしまっている。
「なぜ売り上げがあるのか」と自分たちに問うことは少ない。
ゆえにあるものほど見えにくくなり、ないものを埋めに行くのが市民権を得た動作になっていきやすい。
強みをさらに強くすることへ焦点をあてるのは、クレームや問題処理に力を合わせるよりも難しい。
それ相応の工夫がいるのだ。

 強み談義の苦し紛れの結論。
「真面目な社員の多さ」。
貢献の因果関係に自覚が薄い断簡では、表面に見えるところでの内容にとどまってしまう。
「愛社精神のある社員が多い」も同様だ。
素晴らしいことだが原因をつかんでおきたい。

 弱い部分を補うためにお金を払ってくれるお客さまなどいないから、真の強みを知っているのは顧客の方になるだろう。
しかし、お客さま視点で考える、という古くて新しい言葉は実践が難しい。
できるのは今売れているものをつくった歴史的な事実のつかみである。

 自分の仕事での貢献も会社で生み出している価値は、誰かが何かを決めて動いた結果である。
お客さまにとってのお金を払うだけの価値をつくったから今がある。
そして、自分たちの当たり前は、お客さまにとっては命の次に大切なお金を払ってもいいと思えるほど、現段階では不思議なのだ。
この不思議を、さらなる驚きに意図的に変えようとする努力が、変化を味方につけていくのである。

 あるもののつかみ、去年とは違う自分たちになっていく。
これは相反するものでない。ブドウがワインになるように、ないものは、あるものの延長線で生み出すことができるからである。

 しかし、多くの場合ブドウに気づかない。
ブドウがブドウのままならば、お客さまに飽きられるという見方もできるが、実は自分たちの方が繰り返しの仕事に飽きてしまって調子を崩していく。
勝負の敵は自分のマンネリ感の方だ。

 調子が悪くなってくる企業の最大の原因は、何だろうかと考えてみると、競合がとか、市場がとか、これらは促進要因にすぎない。
黒船が倒幕の直接の原因ではないように、幕府が赤字で求心力が下がっていたところに黒船がきたのと同様に、自分たちがマンネリしていたところに競合がきた市場が厳しくなったとみた方がいいだろう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手-Part2 078」2018.2.23】