03-5420-6251

ご相談窓口/9:30〜18:00

COLUMN

いい会社づくり通信

自分の当たり前を掘り下げた結果がイノベーション

2018.06.11岡村 衡一郎

 イノベーションは脱常識や超常識だ。
他社と似たような取り組み、いわば常識レベルにあることを、よりうまくやろうとする実践とは別次元にある。
しかし10人のビジネスマンのうち 8人から 9人は運営モードにいる。
今までの仕事をベースに目標を達成すべく取り組んでいる。
目標管理制度がそうさせるのかもしれないが、そこにイノベーションは生まれない。

 偉業をなしとげたと言われる人の多くは自分の問題意識を素直にみつめ掘り下げた人だ。
北の国からの脚本家の倉本聰氏は主人公に自分を重ねている。
江崎グリコの創業者が、自分の子供のために作ったグリコーゲンのキャラメルすなわち「グリコ」である。
奇跡と言われる復活劇をなしとげた旭山動物園の坂東園長も小さいころからの野生動物への愛が「行動展示」に帰結した。

 他社と違いを作り出せた人は、自分の問題意識をお客さまに見える形や買える形で表せた人。
競合と比較分析を行なったわけではなく、顧客インタビューを行なったわけでもない。
自分が商品・サービスに表れるからこそお客さまの感動を生んだのだ。
競合他社分析を駆使して生み出した優位性は常識の範囲内だ。
やり方が他社にも分かるから、すぐに追いつかれる。

 他社分析の結果生まれた商品は満足レベルの域を出ない。
一人一人の違いが商品・サービスで花開けばお客さまは感動する。
こんなことを書くと「それができないから悩んでいるのだ」という声が聞こえてきそうである。
だが自分の原点を掘り起こして、今ある商品・サービスの熟成に生かせれば、多くの人にとってコツコツイノベーションは可能である。

 難しいことのように感じるかもしれないが、そうではないのだ。
自分にとっての当たり前を深められれば、感動レベルの商品・サービス革新につながる。
自分の原点は価値を熟成させる上での源になり得るのだ。
自分にとっての当たり前は相手にとって不思議であるからだ。
当たり前と感じていることの中に、コツコツと商品に熟成をかけ革新につながる種がある。

 歯医者なのに固定客が 7割、あいデンタルクリニックの革新の源は、院長の原点である「一度出会った人の関係を持ち続ける」にある。
つながりを突き詰めたから、全国トップレベルの予防比率が実現できた。
㈱アルミック 末武社長にとって「自分で決めることが生きること」である。
ここを経営にいかした「社員が決める経営」で業界最速を達成している。

 虫歯の治療にいく所が歯科医。
社長が行先を決め意思決定をする。
これらは常識レベルの考え方で、間違っていない。
しかし、あいデンタルクニックの院長にとって、人と末永くつながっていくのが常識である。
アルミック末武社長の当たり前は「決めることが生きること」だ。
そして、このように生きる人が増えると世の中がよくなると考えているのだ。

 自分にとっての当たり前は相手にとって不思議である。
自分のこだわりを商品・サービスの価値として花開かせる過程に革新が起こる。
運営モードで忘れがちな自分の原点、自分が生きる真ん中にあるものを、今一度掘り起こそう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 039」2017.4.14】