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COLUMN

いい会社づくり通信

リピート客にフィットする価値/価格

2018.05.14岡村 衡一郎

商品とは、使用価値に価格がついたもの。お客さまは、購入する度に得られる価値と価格のバランスについて詳しくなっていく。
例えばアンパンを 3 カ所で 10 回も買えば、それぞれの特徴について友人に語り、お気に入りの店も決まってくるだろう。
価値/価格に合理性を感じる所で商品をリピート購入していく行為は、ホテル選びでも例外なく当てはまる。

自身の消費経験を振り返ってもらえれば容易にイメージがつくと思う。
例えば、10回外食するとしたら、決まった店に7~8 店くらい、初めての店には 2~3 店は行っていないだろうか。
最良の価値/価格を求めて比較検討をして導いた結果だ。
そして、好みと予算のフィット感を感じるリピート店のランキングを、たまに入れ替えているのではないだろうか。

商品の価値/価格を自分本位でとらえ、市場内比較をおろそかにしていく企業は、今いるお客さまを他社に譲ってしまう。
お客さまは、大切な金を使うからのだから選択はシビアである。
選択し続けてもらえる肝を一言で言えば、値打ちを感じる価値/価格になる。
そしてお値打ち感は、価格か価値のいずれかへの重きの置き方によって異なる。

<図1>

図 1では、購入からリピートのルートを示した。
横軸に客層を二分類、縦軸に商品の価値/価格を表している。
お客さまは、初めてかリピート客のいずれかに分類でき、初めてその商品を買う際、購入経験がない場合の基準は価値か価格かのいずれかがガイドになる。
2回目以降の購入は、体感ベースで商品の価値/価格が比較検討に移っていけるようになる。

ある商品を購入する際に価格により重きを置く人が Aルート、価値をより重視する人が Bルートとする。Aルートのお客さまにとって最初の魅力は価格である。
ズバリ、安価が選択基準となる。
例えば、1泊 5000円予算のビジネスホテルから入り、複数回の宿泊経験を経て、仕事がしやすい環境、朝食の質などがリピートの基準に加わっていくような流れである。

Bルートのお客さまにとって、当初の魅力は非日常的であること。
きらびやかさ、豪華さなどが購入決定のウエートを占める。
複数回の購入を続けていくうちに、過度な装飾、商品の質や機能に影響を与えない部分やあこがれ的な要素は、徐々に選択の基準から外れていく。
年間数十回ホテルを利用する人にとって、当初の選択基準であった、きらびやかさなどの影響が薄くなる。

初めて客の選択に合致する商品だけを展開できるのは、100万都市の大商圏の商法である。
中商圏、小商圏で確実に選ばれ、安定した商売をしていくための商品の肝は、リピート客にベストフィットの「一品」なのである。

価格を重視する人にとっての幸せ、価値を重視する人にとっての幸せ。
まずは、価格か価値か、いずれか一方をリピートするお客さまにとっての「一品」を磨くことから始めていこう。

【HOTERES「サービス・イノベーション 48手 034」2017.3.3】